夕刊:2019/05/08

関税引き上げ観測で続落

為替

8日の東京外国為替市場で円相場は続伸した。一時109円90銭近辺まで上昇し、3月26日以来の円高水準を付けた。米国が対中関税の上乗せ幅の引き上げに動くとの警戒感が投資家心理を冷やし、7~8日にかけて株式相場が世界的に下落。リスク回避を目的とした円買いがドルを含む幅広い通貨に対して優勢になった。円は対ユーロでも続伸した。株安を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まるなか、対ユーロでも円を買う流れが優勢だった。ユーロは対ドルで小幅に続伸した。東京市場でユーロを取引する特段の材料に乏しいなか、円買い・ドル売りが強まった場面でユーロ買い・ドル売りがやや優勢となった。明日9日から10日にかけてワシントンで米中通商協議が開催される予定だが、米国側はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン米財務長官、中国側は劉鶴中国副首相が臨む予定。トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、米中通商協議が合意に至らなかった場合、10日金曜日の米国東部時間午前0時1分(日本時間10日午後1時1分)に、2000億ドルの輸入品に対して対中制裁関税を10%から25%に引き上げると警告している。中国は、その1分後に報復関税を発動する、と警告している。米中通商協議の論点は、中国が知的財産権を巡る法改正に応じるか否かとなる。中国共産党の機関紙「人民日報」の系列紙が、「中国は協議を一時的に中断する用意がある」「交渉失敗でも中国への影響は管理可能」と報じたことで、米中通商協議が決裂して、停戦中の米中貿易戦争が長期化する可能性が高まっている。ドル・円のテクニカル分析では、ダブル・トップを形成し、窓を空けて下落トレンドを形成しつつある。一目均衡表でも、雲の下限110円32銭を下抜けたことで、三役逆転の売りの時代に入った。これまでの参考レンジ:ドル・円:109円90銭-110円29銭、ユーロ・ドル:1.1189ドル-1.1213ドル、ユーロ・円:123円13銭-123円46銭

株式(日経平均)

8日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落して引けた。前週末比321円13銭(1.46%)安い21602円59銭で引けた。(高値21639円12銭-安値21514円85銭)TOPIX:1572.33 -27.51 1.72%安、マザーズ:940.72 -12.98 1.36%安。東証1部の売買代金は2兆7476億円、出来高は14億9623万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は287、値下がり銘柄数は1804、変わらず49銘柄。米国が中国製品への関税を引き上げるとの観測が強まり、米中貿易戦争の激化と長期化に伴う世界景気減速を警戒した投資家が運用リスクを回避する売りを出した。一時は21514円85銭まで下げ幅を広げる場面があった。トランプ米大統領に加え、米中貿易交渉の現場に臨む米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国製品に対する25%という関税の上乗せに言及。関税引き上げが現実味を増しているとして、米中交渉の先行き不透明感を嫌気した中長期志向の機関投資家などがリスク回避の売りを出した。日経平均は年始以降、米中交渉の進展期待を背景に株価水準を切り上げ、4月25日に年初来高値を付けていただけに、いったん目先の利益を確定する動きも出た。前日比400円超安い21500円台前半で推移している。東京外国為替市場で株安に歩調を合わせて円相場が円高・ドル安に振れた。日本の企業業績の重荷になるとの警戒感からヘッジファンドなどの投機筋に加え、中長期志向の機関投資家による売りが出ている。トヨタは8日午後、2020年3月期の連結純利益が前期比19%増の2兆2500億円になりそうだと発表した。世界景気や米中貿易交渉の先行き次第では業績の下振れ懸念が強く、日本企業の業績不安が市場で広がったことも日経平均の重荷になった。

貴金属

金先限帳入値4548円(前日比-6円)銀先限帳入値53.0円(前日比-0.1円)白金先限帳入値3088円(前日比-41円)パラジウム先限帳入値4561円(前日比-108円)東京金、銀は、総じて続落。金は、NY市場で米中通商交渉をめぐる先行き不透明感の強まりを受け、安全資産とされる金塊が選好され、小幅ながら3営業日続伸した。中心限月6月物の清算値は前日比1.80ドル(0.14%)高の1オンス=1285.60ドル。この日未明ごろから、外国為替市場ではドル買い・ユーロ売りが徐々に進行。これがドル建てで取引される金塊の割高感につながり、金相場は朝方に一時1279.10ドルの安値を付けた。東京金は、ドル・円で110円を伺うまでの円高が圧迫要因となり売り優勢で始まった。その後は、更に円小幅高109円後半となり上値を抑制した。銀は、ドル建て現物相場の上昇も円高に相殺され小安く推移した。金は、1円高~6円安。銀は、0.1円安~1.6円安。米株相場が大幅安で取引を開始すると、安全資産としての側面から金塊を選好する動きが台頭。ドル高の影響で相場の頭は重かったものの、午後にかけてじりじりと上昇した。トランプ米大統領による5日のツイッターへの書き込みをきっかけに、市場では米中貿易交渉の早期妥結に対する期待が大きく後退。この日も投資家のリスク警戒姿勢は根強く、米株相場は午後に入って一段と値を崩した。プラチナ系貴金属(PGM)は、総じて続落。プラチナは、NY安を引き継いだドル建て現物価格の下落と円高を受けて売り優勢で始まった。序盤は、全限月が50円超の下落となった。売り一巡後、下値を切り上げたが戻りは限定された。パラジウムは期近以外円高とドル建て現物相場の下落から売り優勢。プラチナは、40円安~50円安。パラジウムは、108円安~26円高。米中貿易協議の難航から株安、一次産品需要の減少シナリオから新規売りを仕掛ける動きが増加している。

石油

原油先限帳入値45300円(前日比-680円)ガソリン先限帳入値56270円(前日比-930円)灯油先限帳入値62890円(前日比-930円)東京石油市場は、大幅続落。海外市場では、米中貿易協議の行方に不安が広がる中、エネルギー需要の先細り懸念が重しとなり、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTI6月物の清算値は前日比0.85ドル(1.37%)安の1バレル=61.40ドルと、中心限月ベースで3月29日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。7月物は0.86ドル安の61.51ドルとなった。東京市場も海外の流れを引き継ぎ、円高要因も加わり続落となった。原油は、680円安~840円安。ガソリンは、560円安~930円安。灯油は、620円安~1250円安。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は6日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する追加関税を10日に25%へ引き上げる方針を表明。先週の北京での貿易協議後に中国が態度を硬化させたことが理由だと説明した。これを受けて、9日、10日にワシントンで開催される閣僚級貿易協議の行方に不安が高まる中、この日の米株相場が急落。株と並んでリスク資産とされる原油も売り圧力にさらされた。また、二大経済大国による対立が長引けば、エネルギー需要の先行きにも悪影響を与えるのではないかとの念も再燃した。これらに加え、外国為替市場では対ユーロでドル高が進行。ドル建てで取引される原油に割高感が生じたことも圧迫材料。さらに、米国内での増産懸念が根強いことも相場を下押しした。ロイター通信の拡大版調査によると、最新週の米原油在庫は前週比120万バレル増となる見込み。また、米エネルギー情報局(EIA)がこの日、2019年の米産油量見通しを日量平均で1245万バレルと、前回の予想から143万バレル上方修正したとの報も伝えられた。

ゴム

東京ゴムRSS先限帳入値189.0円(前日比-1.8円)ゴムTSR先限帳入値164.4円(前日比-1.9円)東京ゴムRSSは、総じて軟調。上海夜間高と円高という強弱材料が交錯する中、やや売り優勢で寄り付いた。その後は、日中取引の上海ゴムが、前日夜間取引の上げ幅を縮小する展開となったうえ、円高が先行したことから、東京市場は総じてマイナスサイドに振れた。TSRは、期近限月を中心に売り先行の展開となった。上海株価総合指数に連動することが多い上海ゴムは、今のところ上海株安に対する反応が鈍いが、今後は徐々に上値が重くなりそうである。米中貿易協議の目先の結論が出るのが今週末とみられ、積極的な買いは入りにくいであろう。

とうもろこし・大豆

コーン先限帳入値は23090円(前日比+240円)東京コーンは、軒並み3桁高で続伸。ドル・円が110円に接近する円高になっているが、シカゴ堅調や、テクニカル要因から買い先行。先限は、23300円まで上昇し、前日7日の高値をわずかに上回り修正高を継続した。10日に米農務省(USDA)から需給報告がある。5月から19・20年度の需給予報となるだけに注意が必要。新規売りは、慎重に対処したい。


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