はじめての金取引その1:金の価値
今回は、初めて金取引を行う人に向けて、できるだけ分かりやすく「はじめての金取引」を解説いたします。
金の価値とは
分かりやすい金の価値から話をはじめると、金を保有する・取引するのは、何のため?
漢字で、【お金=金】と書くように金はお金のチャンピオン。有事の金、さらに、工業製品と通貨の二つの要素を持つと言った特性を持つ特別な貴金属というのが現在のポジション。
そして、何といっても、人類史上、最も有用なお金として、長年の競争に勝ち抜いた王者であることが大事。
金はバトルロイヤルに勝ち抜いたお金の王者
何千年もの昔、物々交換からお金での交換へとシフトし、貝・石・銀・銅貨など様々なモノがお金として取引されてきましたね。その中で、勝ち抜いたのが【金=ゴールド】。特定の権力者や皇帝・政府が決めたのではなく、人類の総意が、金を選んだのです。
なぜなら、金こそお金にふさわしい特質を備えた理想的な物質で、古今東西、これを超えるものは見つかっていません。持ち運びしやすく、火や熱に強く燃えにくい。埋蔵量が少なく貴重でありながらそれなりの量がある。さらに、人々を魅了する美しさすら備えています。
それゆえに、ライバルであった銀や銅との争いを勝ち抜き、紙幣や電子マネー全盛期の現代でも一定の価値を保っているのです。もし、紙幣や電子マネーなどの通貨が危機に陥れば、金の価値は高まります。
金取引の目的
金取引は、二つの目的=役割があります。
- 1.資産を守る
- 2.資産を増やす
株取引を行う投資家に聞くと、儲けたい・増やしたいとの答えがほとんど。しかし、金取引は、資産を増やすだけでなく・守るというニーズが強いことも特徴です。
政府と中央銀行はお金を増刷する誘惑に駆られる
金(ゴールド)は、日本円や米ドルといった国が発行する通貨と明らかに異なる点があります。
国が発行する通貨は、紙幣や硬貨そして電子マネーですね。高額紙幣や電子マネーを発行する場合の費用対効果は抜群。1万円の製造コストは約20円。そして、国民の支持が無いと政権を維持できない政府は、通貨を大量に発行することで、社会保障やインフラの充実=ばら撒き政策を行う誘惑に駆られて通貨供給を増やします。その結果、大量に発行された通貨は価値を失い、インフレ(物価の上昇)という悪魔が襲来。
- 1. 社会保障など人気取り政策で債務増加⇒近年のギリシャなど
- 2. 戦争や軍事費の増加で債務増加⇒ベトナム戦争時の米国やソ連の末期⇒財源不足発生!
その対応策の一つとして、中央銀行が作られ、政府から独立して通貨を管理するという役目が与えられました。しかし、リーマンショックによる経済危機・アベノミクスで政府の要請にこたえた日本銀行を見れば、中央銀行の独立性・限界は一目瞭然。
となると・・・価値を失い値下がりしやすい宿命を持つ国の通貨に対し、守護神・避難先となる存在が【金=ゴールド】。政府にも政府機関にも特定の企業や団体に支配されない独立性ゆえに、希少性が維持できるのです。
そのため、世界の資産家たちは、資産を増やすだけでなく守るために、金を購入します。その理由は、株価や不動産価格が下落した時には、金価格が上昇しやすいもしくは価値を維持することが多いからです。
金取引は分散投資に最適
株式・不動産など多くの資産は、景気好調で値上り、不景気で値下がりしやすいと言う点で共通点があります。そのため、景気悪化するとほとんどの資産が値下がりするのに対して、金は逆の動きをしやすく分散投資に最適な資産。自身の保有資産全てを金で持つのではなく、1/10程度がおすすめ。
◆NY金の月足(四本値)チャート:フジフューチャーズ 2018年4月9日
金取引の基本は、株式などと同じく、安く買って高く売ること。資産を守るだけでなく資産を増やす点でも人気の金融資産。次回は、「はじめての金取引その2:多彩な金融商品がある!」にて、具体的な金取引の種類などをご紹介します。