原油の協調減産見直しで、上昇トレンドに変化あり!

 

ここまで、原油価格の上昇を引っ張ってきた産油国の協調減産。ついに、減産の見直しが始まりました。商品先物市場のメイン銘柄であり、インフレや世界景気にも大きな影響を与えるのが原油価格。

 

協調減産の見直しで、原油の上昇トレンドに変化あり!

 

2018年5月25日、サウジアラビアとロシアのエネルギー相が、原油生産を日量100万バレル引き上げることを協議しているとのニュースが出て、原油市場は大きく下落。これまでは、産油国の狙い通りに、協調減産と世界経済の回復で、原油価格は上昇。減産しても価格が上がれば、利益は大きくなることから、2016年末から始まった協調減産は成功しました。

 

2018年の原油価格上昇:1バレル70~75ドルが壁か?

●WTI原油価格 フジフユーチャーズ 2018年5月29日

原油価格のチャート



72.83ドルを高値に下落。まだ、上昇トレンドは維持。これ以上下落するとテクニカル的に売りシグナルが点灯するでしょう。

 

なぜ、協調減産を見直すのか?

 

あまりにも価格が上昇すると商品市場でおなじみの【価格上昇⇒供給増加】というバランスの天秤が登場。もともと、前回、減産延長した時から、2018年の6月頃に見直しを行うという話でしたから、想定内シナリオの一つだったのでしょう。

 

なにしろ、原油が高くなると米国のシェール業界が活発化して、生産量を増やします。それどころか、欧州や中国でさえ、シェール層の開発を進める可能性あり。なお、欧州は環境破壊の問題で開発が難しく、中国の方が容易。

 

そもそも、協調減産がはじまったのは、米国のシェール革命による原油生産量の増加。

 

それによって、旧来の産油国との価格競争が始まって、原油価格が1バレル約26ドルまで下落しました。さすがにサウジアラビア・ベネズエラなどの産油国は悲鳴を上げ、協調減産によって、価格上昇を狙ったのです。もし、以前のように、90~100ドルまで上昇すれば、再び、あの悪夢がよみがえるかもしれません。OPEC(石油輸出国機構)&ロシアが高値維持に拘れば、シェールオイルがシェアを奪い漁夫の利を得ることに。

 

その前に、自分達の手で価格を抑制し、採算の悪い油田・シェール層からの生産をストップさせようという意図が主な理由。

 

もう一つは、ベネズエラ&イランの原油生産減少。

 

ベネズエラは、経済混乱の影響で、油田設備の投資・メンテナンスが出来ない状態。そして、イランは、米国のイラン核合意離脱によって、経済制裁が復活する可能性が高い。

 

ロイターニュースでは、ベネズエラが日量200万バレルから150万バレル弱と50万バレルの減少。イランへの経済制裁が生じれば、日量80万バレルの原油供給が無くなる可能性

 

これらに対応しての100万バレル増産ではないかと思います。

 

●原油生産量ランキング(日量/バレル) 2016年CIAデータ

原油生産量ランキング


原油生産量は、ロシア・サウジアラビア・米国が、他を大きく引き離すトップスリー。三国の意向が、原油価格の変動に、大きな影響を与えることが分かります。

 

石油大国【米国からもトランプ大統領の攻撃!】

 

トランプ大統領は、2018年4月20日のツイッターで、OPECを批判。原油価格は、人為的に引き上げられており、受け入れられないとの言葉を発しました。

 

トランプ大統領のエネルギー政策は、環境保護&クリーンエネルギーへの反対と原油・天然ガスなど化石燃料の厚遇があげられます。米国のエネルギー産業にとっては、価格上昇は有利なこと。それゆえに、ある程度の価格上昇に対して、米国政府も文句を言わないでしょう。中央銀行のインフレ目標にも寄与しますしね。

 

しかし、あまりにも上昇すれば、産油国に力を与えるとともに、産油国周辺に巣食うISやアルカイダなどの非合法組織にも力を与えます。そして、原油価格とインフレ率が上昇しすぎれば、好調な世界経済(すでにふらついています)にも打撃を与えます。

 

そのため、トランプ大統領及び米国政府と争わないためにも、ここらで、協調減産の見直しを検討しなければいけない時。

 

ある程度の価格を維持したままで、協調減産のテーパリング(縮小)を上手く行えるかどうかは、サウジアラビア&ロシアのリーダーシップ次第。そして、世界政治的には、原油生産国というポイントで、ロシアと中東の利害関係は一致しやすいという点を見逃してはいけません。中東にロシアが首を突っ込むのは、油への影響力確保ということも大事なのです。

 

まとめると、協調減産の見直し理由は以下の3点。

 

1. 高値誘導の成功
2. シェールオイルとのシェア争い
3. 高値維持は、各地でのシェール開発に弾み⇒将来の供給増加と価格下落リスク

 

2018年6月22日に、オーストリアのウィーンで開催されるOPEC総会。ここで、減産延長or見直しが討議されます。OPECが増産を決めれば、原油価格は下落しやすくなります。

 

商品先物市場の原油・ガソリンに大きな影響を与える重要イベントです!



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