米ドルと米金利の上昇で、トルコをはじめとした新興国からマネー移動

2018年9月5日 投稿

 

2018年の夏は、災害レベルの暑さとトルコリラショックが起きた年と記憶されることでしょう。そもそも、トルコリラショックをはじめとした新興国危機は、米ドル高と米金利高が原因。

 

ちなみに、商品先物取引の銘柄の中でも金・原油・白金などの銘柄は、景気や金利の影響を敏感に受けますから、米ドルや米金利をはじめとしたマネーの流れを見るのは大事。

 

FRBの金融引締めで新興国から米国へとマネー移動

 

マネーは、リスク(損失の可能性)とリターン(収益)バランスを考えて、有利な方に移動する性質を持つ。

マネーの動き

 

米国は、量的緩和を終了し、金融引き締め=金利引き上げを実行中。これによってお金の流れが変化。新興国から金利の上がった米国へとお金が戻っているのです。2013年5~6月に、量的緩和を縮小するという話が出ただけで、新興国は通貨安・債券安・株安が起きました。今年の2月も長期金利の上昇で、新興国をはじめとした株価が下落。

 

米国の中央銀行であるFRBは、これからも利上げを行う予定。そのため、新興国の悪夢は、まだ続くと思います。ただし、トランプ大統領をはじめとした利上げへの反対意見も多く、パウエルFRB議長の手腕に注目が集まります。

 

2018年の夏も同じ現象。では、なぜ、このような現象が何度も起きるのでしょうか?

 

米ドルの力が強く、自国通貨は弱い

 

新興国のほとんどは、脆弱な資金力・通貨しか持ちません。自国通貨でお金を借りると高い金利を請求されてしまいます。

 

そのため、借金の大半は、自国通貨建てではなく、米ドル建て。ということは、米ドルの上昇に合わせて、返さなければいけないお金(自国通貨建て換算)も増えるということ。さらに、米金利が上がれば、毎月毎年の利息も増えていきます。

 

トルコリーグのガラタサライに所属するサッカーの長友選手。トルコリラ危機の最中、給料をトルコリラでなく、ユーロで貰っているとツィートしました。その方が安心ですからね。

 

そして、自国通貨を米ドルにリンクするペッグ制を採用している場合、米国の金利上昇にあわせて、自国通貨の金利も上げる必要があります。そうしないと、金利面で有利な米ドルにマネーが移動して、これまた、自国通貨が安くなります。

 

これが、米ドル&長期金利上昇によるトルコリラショックなど新興国危機の本質

 

◆各国の10年国債の利回り 2018年8月30日

国債の金利米国の金利が上昇すると、安全に利益を得られると新興国からマネーの一部が移動

 

新興国は、米ドル高と金利高でアップアップ。

 

FRBは、米国第一を主張しており、新興国危機に対して冷たい姿勢。新興国自身も米ドル高・金利高を予想していたはずだとして、米国経済や株価が悪化しない限り、利上げを止めない方針。

 

まとめると、新興国には、2つの問題点が生じます。

 

1.外国からの短期借り入れを行っていたため、危機が起こると資金が逃げ出す
2.ドル建ての借り入れは、自国通貨が下落すると、ドル建て債務が増加する

 

調査会社ディールロジックの調査では、米企業を除く世界の企業がドル建てで借りた資金残高は、2017年末で約5兆9150億ドル。(約640兆円)つまり、ドル高が10%進むと、債務は6.4兆円の増加。そして、金利上昇に利払い負担も同じく増加します。

 

新興国危機と商品先物取引

 

トルコリラショックのような危機が起きると、商品先物価格も下落しやすくなります。その理由は、世界的な景気悪化による資源需要の減少。逆に言えば、新興国で危機が起きても先進国の景気良ければ、商品先物の価格は維持されます。

 

◆東京金先物月足チャート 2018年8月30日 フジフューチャーズ

東京金の月足
米国の金融引締め&新興国危機は、過去の東京金先物相場には下落要因。

 

現在は、米国の景気が良いため、世界的な経済・金融危機に発展していません。米経済が崩れるとこれは、本当に危ないです。高値の米株・減税&財政拡大のマイナス面など、2019年~2021年頃の米国は、リスク大。

 

そして、危機の規模が大きければ、新興国全体の資産が売られて、米ドルや日本円に戻ってくるので、円高になりやすい。金や銀・原油など為替の影響を受けやすい銘柄の下落要因。

 

一方、通貨安になった新興国は、危機が収まれば、次の成長に向けての芽が育つことになります。

 

FRBは、今後、どう動くのでしょうか。2018年9月の利上げは固い。しかし、12月の利上げは、少し怪しくなってきたというのが、おおかたの見通し。新興国のゆくえはそこにかかっています。



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