米ドル/円の変動要因:その1 円高に動きやすい理由とは?

2019年1月15日 投稿

 

2019年の商品先物取引相場は、正月気分のうちに、アップルショック(アップルの業績下方修正)による急激な円高が生じるなど波乱のスタート。

 

円高は、商品先物相場に大きな影響

 

商品先物取引は、海外で取引されている銘柄(原油・金など)が多く、為替相場の動きに大きく左右されます。そのため、為替相場は、難しい・わからないと避けてばかりもいられません。そこで、特に、米ドル/円の変動要因についてお話します。

 

今回は、商品先物取引投資家を含めた短中期トレーダー向け。そのため、為替相場の中でも、米ドル/円の動きを中心に話します。

 

米ドル/円は、円高に動きやすい(貿易黒字の場合)

 

まず、とても大事なことは、米ドル/円は、円高に動きやすいということ。これは、実需の流れを考えるとわかります。

 

日本は、世界第二位の経常黒字国。そのため、米ドル/円が、円高になりやすい理由を説明します。

 

●日本の輸出企業は、製品を輸出して外貨を稼ぎます。そして、稼ぎ出した外貨(主に米ドル)を売り、日本円を買う行動を行います、ゆえに、米ドル売り日本円買いの実需が生じて、為替相場は、円高に傾きやすい。

 

●米国は、世界最大の貿易赤字を抱えている国。つまり、世界中の企業は、米国にモノを売り米ドルで受け取っているということ。となると、受け取った米ドルを売るニーズが常に生じています。ということから、米ドルは売られやすい=下げやすい通貨だということ。だからこそ、米国は、高い米ドルこそ望ましいと発言して、米ドルの価値を維持しているのです。

 

まとめると、この2つが、米ドル/円の基本的な動き=円高圧力

 

  • 1.経常黒字国の日本は、円高になりやすい。
  • 2.経常赤字国の米国は、ドル高になりやすい。

 

円高も円安もそれぞれ、メリット・デメリットがあるのに、円高是正の声が大きい理由の一つは、これ。

 

逆に、米国は、弱くなりやすい通貨を抱えているから、米ドルの価値を維持するために、強いドルをアピールしています。もし、ドルは弱くてもいいと発言すれば、一気に下落するリスクを抱えているということ。

 

アベノミクスでの円安はなぜ?

 

近年、安倍政権のアベノミクスで、大きく円安に動いたのは、貿易収支の結果。東日本大震災による原子力発電所の停止により、火力発電所のエネルギー消費増加&原油価格の急騰で、日本の貿易収支が赤字に陥ってしまったのです。もう一つ、次回にお話する金融政策も大きな要因でした。

 

●日本の貿易収支:2000年から2017年

日本の貿易収支

2011~2015年の間は、貿易赤字。

 

次に、米ドル/円の動きを見てください、貿易収支が赤字レベルの2011から2015年の間は、円安トレンドになっている事がわかります。

 

●米ドル/円の月足チャート:フジフューチャーズ 2019年1月9日

米ドル/円の月足

原油価格の上昇で、貿易収支の悪化

 

商品先物取引の原油相場は、高くなると、日本の貿易収支悪化につながることがわかりましたね。このように、商品先物取引と為替相場は、密接に関係しています!

 

●WTI原油の月足チャート フジフューチャーズ

原油のチャート

原油価格の急落は、日本の貿易収支改善に繋がりました。

 

変動為替相場による貿易収支のバランス調整

 

為替相場のセオリーとして、米ドル/円のレートが変化することで、赤字・黒字の貿易収支を調整することになっています。収支のバランスが取れるレベルまで、円高に動けば、ちょうどいいわけですね。しかし、為替には、貿易収支以外の変動要因もあるため、そうは上手く行きません。


米ドル/円相場に、大きな影響を与えるのは、貿易収支。コーヒーに例えるとコーヒー豆に当たる部分。それに、砂糖やミルクを加えると苦味が抑えられて、甘さがプラスされるのと似ています。


とはいっても、常に、円高に動くほど、単純ではありません。中長期の米ドル/円のファンダメンタルズは、まず、日米の貿易収支が、今後、どうなるかを予想。その上で砂糖やミルクに当たる他の変動要因を分析してください。円高圧力を上回る材料があれば、円安に動きますし、材料がなければ、円高に動くのが基本。

 

次回は、他の変動要因をお話いたします。



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