世界的な景気後退=金利低下で、ゴールドにレンジブレイクの可能性あり!
英国のEU離脱(ブレグジット)や米中貿易交渉による中国経済の悪化は、世界全体に影を落とし、ゴールドが更に高値を目指せる状況が整ってきました。
中国経済の悪化で、製造業を中心に世界は、景気悪化モード
欧州は、ドイツ・イタリア・フランスと軒並み、経済悪化。欧州全体として、英国のブレグジットによる不透明感があるところに、フランスの大規模デモや中国経済の悪化がダメージ大。
何しろ、欧州の大国ドイツは、中国との経済関係が深い国。2016年以降のドイツは、中国が最大の貿易相手国。2017年の貿易額は以下の通り。
◆ドイツの貿易相手:上位三国。
1. 中国:1866億ユーロ
2. オランダ:1773億ユーロ
3. 米国:1726億ユーロ
中国経済の悪化は、ドイツにとって、他人事では済まされない重要な事態。中国が風邪をひけば、ドイツにも移るという感じ。
新興国も経済悪化モードに
NZ中銀は、世界経済の見通しは弱まり、次は利下げの可能性が高いと発表(2019年3月27日)。そして、トルコは、通貨リラの下落を防ぐため、一時、翌日物レート(金利)が1,000%を超える事態に!
そういった景気後退局面で、輝く商品が、ゴールド(金)。そのサイクルは次の通り。
景気後退による経済悪化⇒株安債券買い&中央銀行が金融緩和路線⇒金利低下⇒金利のつかない金が買われるというセオリー。
金利の付かない金は、金利が低下する状況で上昇しやすい商品ですからね。そのメカニズムを簡単に説明いたします。
●各国の2年国債利回り:2019年3月28日
上:2019年3月28日の利回り
中:0.5%金利上昇のケース
下:0.5%金利下落のケース。
金の金利はゼロですから、金利が上昇しても変化なし。そのため、金利が上昇すると魅力が低下し売られやすい。そして、金利が下がる局面でも、金の金利は下がりませんから、買われやすくなります。
米国の国債を持っていれば、2.18%の利回りを得られたのに、1.68%に下がれば、手放して、金を買う人が増えるでしょう。逆に、2.68%に上昇すれば、金を売り米国債を買う人が増えるというメカニズム。
先進国経済は、リーマンショック以降の金融政策=量的緩和から脱しきれず。米国こそ利上げできたものの、日本及び欧州は、出口戦略をスタートするまもなく、景気後退に直面するリスクを抱えています。
おカネは、発行しすぎると価値を失う
今以上に、日本が金融緩和する余地は疑問符ながら、【MMT(現代貨幣理論)=自国通貨で借り入れを行う国は、財政破綻しない。】からも、財政&金融拡大が起きそうな気配がぷんぷん。
おカネは、発行すればするほど、価値を失うというセオリーが正しければ、次に危機が起きれば、おカネの価値そのものが問われる事態になりかねません。そうなると、生産量・発行量に限りのある金が有利。
だからこそ、米国が利上げを進めても、金は下がらずに、1200~1300ドルで動いていたのではないかと思います。
経済悪化すれば、金のレンジが抜ける可能性あり
すなわち、2019年3月現在、起きている経済のスローダウンが、危ういものであるということを市場が先取りして、金を買っている面が強いのでしょう。過去の例で見ても、景気後退となれば、金相場の大きな上昇を期待できますし、現在のレンジを上抜ける可能性があります。
◆東京金価格の月足チャート 2019年3月28日 フジフューチャーズ
リーマンショック後の世界経済危機で、一時的に下がった金は、中央銀行の量的緩和による金利低下で、前のレンジを抜けて、大きく上昇しました。2500円~3500円のレンジから、3500円~5000円へと上昇。
今回の景気ダウンが経済危機に発展すれば、リーマンショックと同じような現象が起きる可能性があります。そうなると、金は、5,000円を超えていく可能性があります。
ただし、リーマンショックの時も、一時的に大きく値下がりした場面もありましたし、買うタイミングは、慎重に!
投資情報は、利益を保証するものではありません。相場変動や金利差で損失を生じる場合がありますので、投資対象・取引の仕組み・リスクをご理解ください。取引は、ご自身の判断と責任で、行ってください。