通貨安競争の再燃は、商品先物相場上昇への好材料

2019年7月25日 投稿

 

サブプライムローン危機から、2008年9月のリーマン・ショック。そして、欧州債務危機。この後、先進国は、景気回復のために、とある方針を採用しました。

 

それが、通貨安競争&量的緩和。

 

世界的な経済危機に陥った各国は、自国の景気をなんとかしなければいけません。放っておけば、政権は倒れ、国民からの怨嗟の声がうずまきます。

 

かといって、一朝一夕に景気は戻りません。そこで、自国通貨を安くすることで、景気を良くする通貨安競争が始まりました。

 

そして、今、通貨安競争が再燃しています。これ、商品価格にとって上昇材料です。

 

●ユーロ/ドルの月足:ユーロは、リーマン・ショック以降、ダウントレンド。

ユーロ・ドル

●米ドル/円の月足チャート:米国の利下げ再開するであろう方針転換を材料に、やや円高。

ドル円

なんのために通貨安競争をするのか

 

自国通貨が高いと、貿易において価格面で不利。そのため、輸出が減り、輸入が増えて貿易赤字になります。今の米国の実力からは、通貨が高すぎるとトランプ大統領は主張しているわけ。

 

そして、バブル経済前の日本・現在の中国は、意図的に通貨を安くして、貿易黒字を稼いでいると米国に非難されています。

 

●円安になるとこんなに有利。

 

1ドル=100円の時、100円で買える品物(輸入品)は、米ドル/円が、倍の1ドル=200円になると200円出さないと買えません。1台100万円の車が、200万円になるようなもので、相当、売上台数が落ちると想像できますよね。

 

米国や欧州が通貨安競争を行うと、日本は不利。何しろ、先進国最低レベルの金利・国家防衛に米国のちからを借りている状態ですからね。

 

アベノミクスによる円安誘導は、成功しましたが、スタート前は、米国がドル高円安を許さないから失敗するという予想もありました。2%のインフレ目標は、達成できなかったものの、円安誘導自体は成功したのです。

 

米国の貿易赤字削減のために米ドル安に

 

貿易赤字・・・減らすといっても簡単ではありません。

 

いまさら、中国に米国製品を買えといっても難しいのは、日本が一番良く知っています。日本も、米国車を買えと当時のパパブッシュ大統領がセールスに来ました。しかし、買えと言われても、当時のキャデラックやフォードは、日本の土地にあわないため、売上は伸びず。

 

米国製品が、日本に受け入れられるようになったのは、アップル・グーグルなどの魅力あるサービスが開発されてからです。

 

中国の場合、グーグルをはじめとしたIT企業に障壁&無断使用が多く、そこをなんとかすれば、赤字の一部は解消しそうですが・・・それで足りない分は、米ドル安人民元高に誘導するのが手っ取り早い。

 

それによって、中国の工場が、米国・中国以外のアジア・インド・アフリカなどに分散することを狙っているわけです。中国の需要が減っても、他国に生産拠点が分散すれば、ガソリン・ゴムなどの商品相の影響は小さくなるとも考えられます。

 

では、貿易赤字削減のため、中国への経済封鎖を行うのはどうでしょうか。

 

さすがに、そこまですると戦争につながるリスクがありますし、米国自身へのダメージも大きい。結局、通貨安による貿易バランス修正を取らざるを得ないと予想します。

 

ドル安は、コモディティ高になる

 

さて、それでは、各国・・・特に米国が通貨安政策を採用すると商品価格がどうなるかです。

 

まず、金は、ドルと相関関係があります。金は、通貨・資産退蔵の要素を持ち、米ドルが下がると金が上がる関係。すでに、米ドルが安くなり、金が上がるという動きは生じています。

 

インフレとデフレ

 

そして、商品先物取引で扱う商品はモノ。ということは、通貨の価値が下がればモノの値段は上がります。いわゆるインフレですね。反対に通貨が上がれば、モノの値段は下がるデフレになります。

 

ということは、通貨安競争が激しくなれば、商品価格は上がるということ。ただ、各国が通貨安競争を行えば、日本円は強くなりがちなので、円高で相殺される分も出てくるはず。そのあたりは、海外の商品先物相場と為替の関係で書きました。

 

米国は、貿易赤字縮小のために、通貨安競争でもなんでもやるでしょう。

 

通貨安競争で、米ドルを安くすれば、貿易赤字を減らすことと、多少のインフレを起こすことができます。その方が、経済封鎖や戦争よりもはるかに安上がり。ということは、金をはじめとしたコモディティにはプラス。

 

プラザ合意や直接介入のような大規模なドル安誘導を行うかどうかは、中国との交渉次第だと思います。

 

このトレンドが続けば、金・原油をはじめとしたコモディティ価格には、プラスだと思います。しかし、トランプ大統領は、高いインフレには警戒感を抱いています。そのため、高すぎる原油・穀物には、歯止めをかけてくるでしょう。天井知らずのハイパーインフレではなく、マイルドな米ドル安・商品価格の上昇を予想しています。



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