米中の通貨競争は、冷戦並の経済戦争に。

2019年8月15日 投稿

 

先日、通貨安競争のことを書いたばかりですが、米中間の争いに新たな材料が投下されました。これは、すでに、通貨安競争どころではなく、静かな経済戦争。戦車や飛行機・ミサイルの代わりに使う武器は、関税や為替レートが、冷戦との違い。

 

そのため、東京の金先物は、上場来の最高値を記録。2019年8月8日の価格は、1g=5,128円まで上昇しました。

 

◆東商:金先物価格 2019年8月9日 金先物は新たなステージ。

東京金


米中の経済戦争:トランプ大統領の対中追加関税

 

今回は、米国からの仕掛けが発端。

 

注目されていた米国の金融政策は、利下げを決めるも、予想されていた継続的な利下げではなく、様子見の一度だけでした。これが、トランプ大統領の逆鱗に触れたのか、対中国向けの制裁関税第4弾を始めるとツィート。

 

●9/1から3千億ドル相当に、10%の追加関税
●中国は、米国の農産物を購入する約束を守らなかった
●閣僚級の協議で進展がなかった

などの理由から制裁関税強化の方針を打ち出し。

 

また、FRB(米中央銀行)が、継続的な利下げを行うことを催促する面もあると市場で、噂されています。

 

中国の対抗策は、人民元安誘導

 

このトランプ砲に対する中国の対抗策が人民元安。長らく、重要なサポートだった1ドル=7.0人民元を割り込んで、元安が進み、世界の市場は、人民元安ショックに見舞われました。

 

これをきっかに、NYダウは、一時、千ドル近く下げるなど、大きくリスクオフが進む状況。

 

商品市況は、リスクに強い金が買われる一方、銅や鉄鋼など景気に敏感な銘柄が売られました。米中の争いが激化することで、世界経済が悪化というシナリオですね。

 

◆東商:原油先物月足チャート 原油は、下落気味。

 


1ドル=7.0人民元のラインは、中国が断固守ると言っていたレベルであり、これを割り込んでの人民元安は、米国の関税引き上げに対して、通貨安で対抗してきたと考えていいでしょう。

※関税引き上げのダメージを通貨安で相殺する目的。

 


この人民元安を見た米国は、黙っていません。即座に、中国を為替操作国に認定することで反撃。(貿易で、優位を得るために、為替相場を操作している国)

 

世界的なリスクオフモードと金利低下

 

このリスクオフモードで、世界的に金利が急低下。低金利がプラス材料の金が上昇するなど、通貨安競争で予想した通りの展開になりました。このあたりは、以前から連載の読者にお伝えした通りです。

 

各国の10年債金利:2019年8月13日

●米国:1.651%
●ドイツ:-0.593%
●日本:-0.225%

 

米中経済戦争の長期化

 

米中両国が、強いカードを切ってきたことは、妥協よりも対決を選んだということでしょう。もちろん、大人の世界・・・イエスかノーの二択ではなく、お互いに、対決姿勢を見せながら、落とし所を探っていくことになります。

 

両国の経済的つながり&軍事力は、全面対決をするには強すぎます。経済覇権を巡って静かなる戦いを行っていく形。それゆえに、あっさり話がまとまることは考えにくく、長期戦になると思います。

 

トランプ大統領の側近、ピーター・ナヴァロ氏は、著書で、中国の覇権主義を抑えることが平和への道と書いています。中国の経済成長・拡大政策を放置することの方が、リアルな戦争につながるという考え方が基本。

 

直近の米中両国の考え。

 

●米国側は、中国の景気悪化・他国への工場移転などで、経済的にバンザイすることを期待。ソ連崩壊戦略に近い。

 

●中国側は、米大統領選挙で、親中国派の大統領当選を期待。アジアの周辺国に圧力を掛けて、米国がアジアを防衛する気をなくさせる。

 

目的達成のために、水面下での両国のバトルは激しくなると思います。他国も巻き込んでの激戦が続くでしょう。銃弾こそ飛んでいないものの、実質的には、世界の覇権を賭けた戦いが起きていることを理解しておかないといけません。

 

それゆえに、商品相場において、長期の金買いをオススメしていたわけ。

 

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パウエルFRB議長への利下げ催促

 

中国との経済戦争となれば、米国の金融政策が重要。これからもパウエルFRB議長は、利下げをとことん催促されることになります。米国の景気は悪くありません。その点・・・データからは利下げしにくい状況です。

 

しかし、戦争だと思えば・・・話は違います。トランプ大統領は、米景気の悪化&株価の暴落は容認できません。中国との通貨安競争の点からも高すぎるドルは避けたいはず。安すぎるドルも他国からのお金が入ってこなくなるのでダメなんですけどね。

 

結果・・・低金利株高を維持する政策を取らせるでしょう。

 

人民元安の弊害

 

さて、人民元安に限らず、通貨安のデメリットも確認しておきましょう。中国の通貨安政策にも限界があります。

 

通貨安のメリットは、輸出競争力は高くなること。デメリットは、先行き通貨安になるとわかれば、海外の資金・資本が逃げる。いわゆる資本流出が起きること。せっかく、その国に投資していても通貨安だと、投資したお金が目減りしてしまいますからね。

 

また、自国の資本も目減りを恐れて、海外へと逃げ出してしまいます。だからこそ、中国では、仮想通貨や金を買いたがるわけです。

 

ある程度は、当局の規制で、資本流出は制限できますが、経済=お金のパワーを舐めてはいけません。みすみす損をする位ならば、何が何でもと逃げていくのがマネーです。香港の問題も大きいですし。

 

そして、中国の爆買による購買力が下がることで、欧州の高級ブランド品の売れ行きが下がっているようです。これは、日本も他人事ではありません。

 

世界景気の落ち込みで、商品市況全体にはややマイナス。その中で、金はプラスという状況が続くのではと思います。



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