無人の脅威【サウジ石油施設へのドローン攻撃】が原油・金融市場に与えた影響

2019年9月25日 投稿

 

サウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃は、原油価格を大きく上昇させることになりました。なにしろ、サウジアラビアの原油生産が50%止まったというのですから被害は大。

 

今後もしばしば、無人のドローン攻撃が、原油市場の脅威になりそうです。

 

無人機による石油施設攻撃と原油・金融市場

 

原油をはじめとした商品先物・金融市場に様々な影響が出ています。原油は、物価に大きく影響しますから、各国の金融政策や金利動向も変化してきます。

 

まず、大雑把で構いませんので、石油施設攻撃後の影響を見ておきましょう。

 

ドローン攻撃直後は、リスクオフに傾くのではと考えられていました。しかし、原油市場以外は、予想よりも落ち着いています。


【ドローン攻撃直後の値動き】
●NY金:ほぼ横ばい
●NYダウ:横ばい
●原油:50ドル台から60ドル台へと大きく上昇
●米国10年債金利:やや低下
●米ドル/円:少し円高に動くも、すぐに値を戻す

 

ここまでのところ、ドローンによる攻撃は、金融市場に大きな影響を与えていません。原油だけは、これまでのレンジを抜けて、大きく上昇しました。

 

◆WTI原油日足チャート フジフューチャーズ 2019年9月19日

ドローン攻撃後の原油チャート

56ドル・58ドルをあっさり抜けて、60ドル台に上昇。しかし、サウジのアブドルアジズ・エネルギー相の会見によると、9月末までに生産量が戻るとの見通しだったので下落。

 

無人ゆえの脅威:ドローン攻撃の背景

 

サウジの施設が、早期復旧できる見通しが立てば、原油は、下落に向かうでしょう。逆に復旧できないか・さらなる材料が投下されれば、上昇に向かいます。一応、今のところ、9月末には生産量が戻るとのことで、さらなる攻撃がなければ、それほどの高値を付けずに落ち着きそうです。

 

今後は、サウジアラビア対イランの対立度合いが鍵を握ります。原油価格上昇の要因が一つ増えました。

 

サウジ石油施設攻撃の犯人は誰

 

さて、フーシ派もしくはイランによるさらなる攻撃・サウジ側の反撃による地政学リスクは、拡大していると見ていいでしょう。何しろ、今回の攻撃を誰が行ったかについての背景は複雑。普通は、サウジに敵対するフーシ派及びイランの関連組織が犯人。

 

ただ、サウジアラビアは、原油価格の下落で、オイルマネーに頼る経済に黄色信号が灯っています。経済そして社会を改革する「ビジョン2030」を巡って国内情勢は不安定。それゆえ、今回の事件も原油価格の引き上げやイランという敵国を作り上げることで、国内をまとめようという自作自演では・・・という説もあるほど。

 

米国のボルトン補佐官解任・対イラン制裁緩和検討で、原油が値下がりした直後という・・・あまりにも良いタイミングでしたからね。

 

さて、次にもう少し長期的な視野での影響を考えてみましょう。

 

1.米国の金利に与える影響

 

米国の9月FOMCは、0.25%の利下げ決定。トランプ大統領は、大幅な利下げを要求していましたから、妥協の産物という感じ。


①原油の上昇は、インフレになりやすい。利下げをすれば、原油とインフレ率の上昇につながる
②石油施設攻撃は、原油の供給に問題が生じる可能性。景気悪化を防ぐために、利下げで景気を刺激する必要がある。

 

原油価格の動きが、米国の金利に与える影響は大きいので、今後も注目材料。

 

2.インフレに与える影響

 

原油の値上がりは、製造・運送などのコスト増要因、殆どの製品・サービスコストが上昇します。そのため、今回のドローン攻撃の影響で、原油の供給に支障をきたせば、インフレ率が上昇します。インフレ率は、各国の金融政策と関係が深い材料。

 

3.無人テロによる新たなる脅威

 

9.11によるテロ攻撃が世界を揺るがしたように、今回のドローン攻撃も一つのターニングポイントになる可能性があります。

 

SF的な話で語られていた「無人攻撃機・ロボットによる生産設備への大規模攻撃」が、簡単にできるようになりました。つまり、低コスト・命のコストをかけずに、相手に甚大な被害を与えることができるようになったのです。

 

軍事施設と違い、民間施設の守りは弱い。そこを狙われると防ぎにくいのは、コンサート会場・教会・オフィスビルへのテロで証明されていることでした。そして、ついに、経済・生産施設へのダメージを与える攻撃が始まりました。

 

無人アタックによるリスク拡大

 

これによって、類似したテロや内紛が次々に起きるリスクに備える必要が出てきます。原発をはじめとした発電所・エネルギー・水道等のインフラを破壊するだけで、敵対する相手に効率良くダメージを与えられるのですから、テロのコストが下がった分だけ、他のコストが上がります。

 

●東商原油の日足チャート:フジフューチャーズ 2019年9月19日

ドローン攻撃後の東京原油

今回のサウジアラビアの石油施設攻撃は、9.11の時のように世界を団結・・・その後のテロ戦争に動いたように向くのか。長い戦いの始まるとなるのか、原油や金市場への影響をしっかりと見ておく必要がありそうです。



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