銀や原油の大暴落でわかる実体経済の恐ろしいまでの悪化:あらゆる危機に備えよ!
新型コロナウイルスで商品相場がどれだけ下落したか。株よりも商品市況を確認すべきということを読者にお伝えしてきました。
株式と原油相場のミスマッチ:しかし、私の予想よりも凄いことになってきました。
銀や原油相場は大暴落中
●金と銀の先物日足チャート 2020年3月23日
さすがの金先物も下落。最初は、米金利低下やリスク回避による金先物買いで上昇しましたが、各国の利下げや米ドル流動性需要からのドル買いによって下落しています。
より景気に敏感な商品銘柄の一つ、銀先物は、さらにひどい。1g60円以上から40円台にまで下落。ただし、一旦、下げ止まり感は出ています。安値がサポートになりきれるか注目です。
●パラジウムと原油の先物日足チャート 2020年3月23日
環境規制などで大暴騰していたパラジウムは、半値近くに値下がり。原油もコロナウイルス&減産決裂で大幅下落。日銀による買い上げのない商品相場は、株式よりも現実の経済に即しています。銀やパラジウムの相場状況から、実体経済が相当に傷んでいることがわかりますね。
不況や景気後退どころの話ではありません。国や経済の弱いところが、炙り出しのように、どんどん出てきます。
インフルエンザとの比較で冷静になろう
●インフルエンザの死亡者数:年間214人(2001年)~1,818人(2005年)
●コロナウイルスの死亡者数:36人(クルーズ船含み 3月18日現在)
この数字だけを見れば、コロナウイルスよりインフルエンザの方がはるかに怖い病気。コロナウイルスの致死率を調べると、基礎疾患のない人の場合0.9%。しかし、心血管疾患がある場合は、10.5%に跳ね上がります。つまり、健康の人は、かかっても、治る可能性が高い。ただ、何らかの疾患を持つ人がかかると重症化しやすく、医療への負担が大きい。
そもそも、風邪の10~15%(流行期は35%)は、コロナウイルスが原因。そして、肺炎を引き起こす可能性のある重症ウイルスが、問題となっている新型コロナウイルス。
一方で、コロナウイルスと経済の悪化を伝えるニュースが続々と。
●免疫をつけるのに2年はかかる=ドイツ
●失業率が20%にのぼる可能性=ムニューシン米財務長官
●パンデミックが1年半以上続く可能性=NYタイムズ
こんなニュースがどんどん出てくれば、怖くなりますよね。単純に、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを比較はできません。ただ、冷静にデータは見ておきましょう。
リーマン・ショックよりも実体経済への影響が大きい
リーマン・ショックは、ヒト・モノ・カネのうち、カネの流れが詰まったことで起きた問題でした。しかし、コロナショックは、人の移動が制限されるという、従来にない大問題です。人が動かねば、モノもカネも動かない。ここが、リーマン・ショックとの大きな違いです。
好調なのは、配送のアマゾンやオンライン視聴のネットフリックスなど在宅でできるビジネス。SFで人気のあるテーマの一つに、環境破壊やウイルスにおびえて、自宅や囲われた街から外に出ないという世界があります。まさに、今、起きていることではないでしょうか。
サッカーの欧州選手権も延期。東京五輪も危うくなってきました。イベントは開催できず、遊びも冷え込み、実体経済は、ボロボロ。企業は、収入の道を断たれ、事業の先行き見通しが立たないなど最悪の状態です。
ヒト→モノ→カネが回らない=経済が詰まる方が、ウイルスよりもダメージが大きい。
人々のマインドに与える悪影響=需要不足が深刻化
当然、人々のマインドは変化します。トランプ大統領の就任により、アメリカは、アニマルスピリットを取り戻しました。それが、米経済の好調を支えた理由の一つ。これも、コロナショックで冷え込むでしょう。米株価は、トランプ大統領の就任時に逆戻り。レバレッジを掛けたり、買い増しをしていた投資家やファンドの損は、これから出てくるはず。
EUは、理念に反して、各国の国境を閉鎖。世界は、グローバル化の反対に進みそうです。またもや、先進国経済は、需要不足の不況へと逆戻りです。
不況対策で、とんでもない政策が飛び出す可能性
米国債だけでなく、ドイツや英国など欧州の国債も軒並み大きく下落(利下げにもかかわらず、利回りは上昇)。米ドル及び現金化の需要で、リスクに強い金相場まで下落しました。
リーマン・ショックは、金融機関をはじめとした金融が、生産やサービスを停滞させました。新型コロナウイルスは、ヒト・モノの動きが止まり、金融危機のきっかけになりかねません。
大不況を止めようと国民へのバラマキ政策やユーロ圏共同債構想、超長期債の発行などまたもや将来にツケを回すリスクのある政策が取り沙汰されています。政府の債務は、これから大きく膨らみ、相対的に金の価値はあがっていくのではないでしょうか。
今、そこにある危機
●借金や株の含み益を材料に、企業規模を拡大してきた企業
●シェール企業をはじめとしたエネルギー産業とその債券
●膨らむ国家の債務
●ウイルスに弱い高齢世代に対して、経済を止められたと考える若者世代の対立
●不動産市況の悪化で、銀行融資や債権の焦げ付き
●観光業や飲食業の衰退
など、今回の新型コロナウイルスによる被害は、相当、厳しいものになりそうです。米政府の財政出動は、220兆円!になりそうとの話も。これらの政策次第で、下げ止まる場面も出てくると思います。
●WTI原油先物の月足チャート 2020年3月23日 フジフューチャーズ
大陰線!