危ういユーロを嫌いゴールドへの逃避:ドイツにパンデミックが突きつける2つの選択肢

2020年5月7日 投稿

 

新型コロナウイルスによるパンデミックは、欧米を直撃しています。特に、欧州は、EU及び通貨ユーロが存続できるかどうかの瀬戸際に追い込まれる可能性があるのではないでしょうか。もし、ユーロ廃止ということになれば、新通貨の裏付けとして、ゴールドの需要が高まる可能性があります。すでに、ユーロ圏の債務は拡大し、ゴールドに逃避している兆候が見られています。

 

今回は、ユーロと金についてお話いたします。ユーロの悲観的な長期予想ですので、可能性の一つとして、お読みください。

 

新型コロナウイルスがEU及びユーロに突きつける大問題

 

アジアに比べて、欧米の新型コロナウイルス感染者数は、非常に多いことは、ご存知ですよね。中国や日本に比べて、欧米の感染者数や死亡者数は高く、パンデミックは、かなりひどい。驚くことに、スペイン・イタリア・フランス・英国と欧州各国の死亡率は、10%を超えており、日本や中国より、はるかに高いのです。その分、企業及び消費者の経済マインドは低下しています。

 

●欧州各国:新型コロナウイルスの感染者数

2020年4月27日 出典:ロイター

 

欧州各国で行われているロックダウンや移動制限は、景気に大きな影響を与えることになるでしょう。そして、観光業で稼ぐ傾向の強い南欧州には、強烈なダメージを与えています。

 

日本総合研究所の調査データによると、インバウンド消費減少が、GDPに与える影響は、スペインで、マイナス12%。観光資源が強いフランス・イタリアもマイナス6%となる見込み。インバウンド消費だけで、これですからね。他の業種も加えると壊滅的なダメージです。

 

世界的な需要減少による輸出不振も深刻で、ユーロ圏の製造業は、不振を極めています。失業率は、どこまで上昇するのかこれからが恐ろしい。貧困層の多い地域では、ロックダウンに反対する暴動すら起きるレベルまで治安も深刻化しています。

 

さて、早くも10年の月日が過ぎ去ったサブプライムローン危機から始まった世界金融危機。欧州はソブリン危機が直撃し、経済は大幅に落ち込み、スペインやギリシャなどでは、失業率が25%以上に上昇。新型コロナウイルスの感染拡大は、この再来となる可能性があります。

 

すなわち、景気悪化や失業率増による財政悪化・ソブリン危機が、起きれば耐えられるのでしょうか?

 

ギリシャやイタリアなど危機に見舞われた国をEU及びドイツは、いかなる犠牲を払ってでも、EUとユーロを守るのかというテーマが試されることになります。

 

●ユーロ/ドルの月足チャート 2020年4月30日

ユーロドルの月足

 

イタリアやスペインは、リーマン・ショック~世界経済危機から立ち直っていない

 

 

欧州は、ユーロ安の恩恵を受ける強いドイツ。そして、高すぎるユーロで、振るわない南欧諸国の分断で悩んできました。ユーロという共通通貨は、ドイツ経済には安く、他国には高いという矛盾を孕んだ通貨です。米ドルや日本円・ゴールドよりも不安定な運命を背負っており、経済危機が起きると、その脆弱さが浮き彫りになります。

 

ユーロは、共通通貨のため、ある国の景気が悪化すると当該通貨が安くなることで、景気を回復する変動相場制のメリットを活かせません。もしも、イタリアやスペインが、ユーロではなく、リラやペセタを自国通貨としていたならば、とっくに通貨安が起きていたでしょう。しかし、ユーロに加盟している以上、それは起きません。となると、苦しい経済を抱える国が、続々と出てくることになります。

 

ギリシャ・イタリア・スペインなど南欧州各国は、リーマンショックに続く、ソブリン危機で、大きな痛手を受けました。今でも、2008年の危機以前まで経済は回復せず。そこに、今回のコロナウイルスの蔓延という災害が襲いかかってきたのです。

 

災害時は、弱いところの被害が最も大きくなります。富裕層は、日頃の蓄えで耐えられても、蓄えの少ない貧困層は、ロックダウンや経済活動の停止が、生活や命に直結します。欧州は、EU内での格差が大きい地域。格差が大きければ、疫病や経済危機時に、社会が不安定になるのが歴史のセオリー。

 

●欧州各国のGDP比較(2018年)

コロナウイルスの感染率

 

欧州を救う道をドイツが選べるか

 

苦境に陥るギリシャやイタリア・ポルトガル・スペイン。各国は、国民を救うための補償を行い、国家債務を膨らませることになります。お金がなくても、目先の危機を救うために、財政出動するしかないでしょう。つまり、危機が収まった後に、ソブリン危機が生じる芽が出てきました。

 

結局、弱い国・貧しい層を助けることができるのは、富める者だけ。欧州でその役目を期待されているのはメルケル首相率いるドイツ。新型コロナウイルスによる経済封鎖で、南欧州をはじめとする各国が危機に陥った場合、EU&ドイツは、彼らを救うことができるのでしょうか。

 

日本だと、沖縄が経済危機に陥ったら、救うことに異論は出にくいはず。しかし、欧州は、違います。通貨が共通なだけで、文化も制度も勤労意欲も国ごとに異なる中、ドイツが、EU各国の債務を負担してEUとユーロを守る合意を得られるのか疑問です。前回、ソブリン危機やギリシャ危機の時でさえ、議論は割れ、EU離脱の話が飛び交ったのです。

 

そして、過去との大きな違いは、英国のEU離脱(ブレグジット)。これにより、離脱のハードルは下がりました。離脱反対派は、ブレグジットで英国経済が大打撃を受けると言っていましたね。でも、現実には、そうならず。ということは、EU離脱を選ぶ国が出てもおかしくありません。

 

EUとユーロを守るためには、ドイツがすべてを救うしかありません。ドイツは、EUとユーロを守るか、ユーロ圏が崩壊するままに任せるのか、重大な選択を迫られることになるでしょう。

 

ユーロ崩壊前に、ユーロ安とゴールドへの逃避があると予想

 

ユーロが崩壊し、各国が、自国通貨に戻れば、ドイツ・マルクは暴騰し、他のユーロ加盟国の通貨は安くなるでしょう。しかし、自国通貨に戻るのは、大変な作業。新通貨が紙切れにならないように、信用の裏付けが必要。ゴールドを使うのか仮想通貨的なシステムを使うことになるのか、興味深い問題が控えています。

 

しかし、いきなりEU及びユーロ廃止にはならないと思います。まずは、生き残りに向けて、とことんあがくでしょう。ユーロは、各国の苦境を救うために、大量に発行されて、価値を弱めることになるのが、私の考える長期シナリオです。つまり、ユーロに対して、米ドル、日本円・スイス・フラン、ゴールドなどが強くなると思います。

 

●COMEX金先物 月足チャート 2020年4月30日

金先物のチャート


すでに、金への逃避は始まり、大幅に上昇しています!



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