新型コロナウイルスによる移動制限&原油安で忍び寄る新興国危機

2020年5月15日 投稿

 

新型コロナウイルスは、日本をはじめ、先進国の経済に大ダメージを与えています。しかし、これだけでは終わらないのではないでしょうか。

 

借金と原油に頼る新興国危機は、これからが危険。

 

これから、コロナによる経済縮小の損害を被るリスクがある新興国。新興国の中でも、経済の大部分を資源生産に頼る資源国は、需要減少による原油安をはじめとした資源安の影響を真っ向から受けることになります。そして、世界的な輸送や工業需要減少は、経済的に弱い新興国の方が、被害が大きくなります。危機に対する余力が先進国より少ないためです。先進国でも株高と実体経済の悪化という2つの乖離が出てきました。

 

●NYパラジウムの日足チャート 2020年5月11日

パラジウムのチャート

あれだけ、上昇していたパラジウムが、この下げっぷり。

 

すでに、米ドル高による新興国通貨安や新興国からの資金流出が生じており、今後の新興国は、経済と治安の両面から、注目しておく必要があると思います。

 

トルコやアルゼンチンは、通貨安・デフォルト懸念など、マーケットに影響を与えつつあります。

 

新興国の状況

 

世界中に広まったコロナウイルスは、人・モノの移動を制限することとなり、まず、輸送に使う原油の需要を一気に冷え込ませました。これによって、原油が滝のような下落を見せたのは、御存知の通り。

 

原油先物取引の代表銘柄であるWTI原油は、受け渡しの関係で、一時、マイナス価格をつける程。マイナス価格は、原油を買えば、お金がもらえるという異常事態。原油がエネルギー源として価値を持ち始めてから、こんなことが起きたのは初めてでしょう。

 

移動制限と原油安は、産油国及び経済の弱い新興国に、深刻なダメージを及ぼし、新興国危機が生じるリスクを高めました。

 

ブラジルのボルソナロ大統領はこう言っています、「私は、メシアではない。たとえ、コロナウイルスが蔓延していようと働かなければ、食っていけないのだ。」と悲痛な訴えです。リベラル派からは、何かと批判される大統領ですが、ロックダウンする経済的な余裕がなく、切羽詰まっているのは、理解しておきたいところ。

 

これが、新興国の現状。米国の4月雇用統計すら、非農業部門雇用者数は前月から2050万人減少し、失業率は前月の3倍余りとなる14.7%に上昇。新興国で、同じようなことが起きると、国を揺るがす危機になると思います。

 

各国の失業率:アメリカの失業率は、4.4%から14.7%へと急上昇。新興国の失業率がどうなるか注目です。

 

新興国危機は、深刻化するリスクあり。

 

エコノミスト誌のまとめによると、新興国を中心にソブリン債のリスクが急騰。すなわち、保険の役割となるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッド(保証料率)が大きく上昇。

 

ロシア・メキシコ・アルゼンチン・スペイン・カタール・エクアドルなどは、このCDSのスプレッドが、200%以上も上昇しました。そして、メキシコ・ブラジル・南アフリカ・コロンビア・ロシアは、対円レートで、15%以上も下落しています。原油安で収入が下がった国やもともと、経済基盤の弱い国が含まれていますね。

 

今後、南米やアフリカにコロナウイルスが蔓延したり、先進国のロックダウンが長引き、経済活動の再開が遅れれば、次々に新興国にデフォルトが起きる未来が待っているかもしれません。それでなくとも、リスク回避による米ドル高は、新興国の債務残高・利払いを膨らませて、危機に拍車を掛けます。すでに、新興国からの資金流出は、2008年以降で最も大きいとの報道もあり、IMFをはじめとした国際機関の助けがなければ生き延びられないでしょう。

 

特に、ロシア・ブラジル・インド・南アフリカ・アルゼンチンなど、経常収支に対する政府債務が大きい。もしくは、原油輸出への依存度が高い国は危険です。新興国株価や通貨が更に、下落して、新興国通貨危機が起きれば、ただでさえひどい世界経済の危険度は増します。

 

原油・銀など資源系の商品先物銘柄は、需要減少に苦しめられることになります。そして、新興国救済のために、マネーがばらまかれるようなことになれば、金先物の上昇要因。なぜなら、新興国で債務危機が起きた場合、救済に動かなければいけません、すなわち、ドル不足を解消するために、FRBによる米ドル供給以外に方法は見つからないのではと思います。

 

それは、長い目で見た場合、米ドルの価値を下げることになるでしょう。米国内の失業率・失業者数は、とんでもない数字が出ています。そのため、コロナ救済のために、米国政府は、大きな負債を抱えることになります。もしかしたら、長く続いた米ドルの基軸通貨体制を揺るがすターニングポイントになるのではないでしょうか。



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