米ドル覇権のフィナーレ。リスクヘッジで輝くゴールド

2020年6月5日 投稿

 

ゴールドの魅力の一つは、通貨安に対するリスクヘッジ。そして、金が買われる理由として、注目を集めています。

 

なぜなら、政府の発行する通貨は、信用を失い、新たな通貨へと交代する歴史を繰り返しているから。そのため、世界の資産家は、自国通貨だけで資産を保有するのは危険だと考えて、ゴールドを保有。そして、現在の基軸通貨である米ドルは、ベトナム戦争・9.11・リーマン・新型コロナと危機を迎えるたびに、発行額が増えていき、ゴールドに対して、安くなっています。

 

基軸通貨は、経済覇権によって移動する

 

かつて、基軸通貨だったオランダのギルダーやイギリスのポンド。その地位を失ったのは、経済力が衰え新たな国が台頭したため。オランダの海洋帝国は、イギリスやフランスとの戦争を通じて、力を失いました。オランダとの争い勝ち、世界の海に乗り出したイギリスに覇権が渡りました。続いて、世界の覇者となったイギリスと英ポンドも、第一次・第二次と2つの戦争を通じて、米国と米ドルに基軸通貨の地位を奪われました。

 

基軸通貨の交代時に、価値が上がるゴールド。

 

ギルダーが価値を失った時、オランダからイギリスに、富が移動しました。資産家は、売られて、安くなるギルダーを処分したい。そこで、ギルダーから金銀への換金要求が強まり、ますます通貨安をもたらすことになりました。

 

イギリスから米国への覇権移動は、米英の同盟関係や戦争後の国力に大きな差があったため、スムーズ。1945年のブレトン・ウッズ協定において、米ドルの基軸通貨と金本位制が採用されることになりました。

 

中国の台頭で、米国の覇権は脅かされている

 

世界一の経済を誇る大国。米国。新型コロナウイルスによる経済危機では、世界でドル不足が起きて、ドル高トレンドが生じました。

 

しかし、止められないのは、歴史の流れ。そう、中国の台頭です。トランプ大統領は、その流れを食い止めるべく大統領についた人物。新型コロナウイルスが、欧米経済を直撃。トランプ・ラリーによる雇用増加や株価上昇は、かなりのダメージを受けることになりました。そして、アジアよりも欧米の方が、ウイルスによる被害が大きいことから、米中の国力も縮まる可能性があります。

 

●米中の国力比較:中国が米国を超えようとしているのがわかりますね。クリックすると拡大します。

米中国力比較

出典:JETRO

 

今年後半の相場におけるテーマは、米大統領選挙と米中対立が絡み合うと思います。トランプ大統領は、中国の脅威と民主党のオバマゲートを争点にするでしょうし、中国は、トランプ大統領の再生阻止に全力を出すはず。

 

量的緩和の連続で、弱くなるドル

 

さて、米ドルですが、新型コロナウイルスの影響で、巨額の財政出動を行っている米国。FRBは、世界中のドル不足を補い、経済危機を防ぐ目的で、無制限の量的緩和を行っています。未来の危機を恐れて、今日の危機に対処しないのは本末転倒ですから、これは、やらざるを得ないと思います。しかし、将来を考えると、この施策は、通貨の価値を減少させる諸刃の剣になるでしょう。

 

FRBの量的緩和によって、通貨と信用が市場にじゃぶじゃぶと流れ込めば、結局、通貨の価値を下げる結果が待つだけ。江戸幕府が、金貨・銀貨に含まれる金銀の量を減らしたのと変わりません。

 

さらに、新型コロナウイルスによる様々な給付や手当を受け取るために、数字のごまかしが増えれば、さらに問題は増えます。もともと、資本主義と市場は、残酷なもの。それを嫌い、政府による救済を増やせば、共産主義に近づいてしまいます。

 

すでに、日本でも、政府が救うべき産業を決めようとしています。パチンコ・農業・演劇・・・その価値決定を市場に委ねるのが資本主義だったはずですよね。極端な資本主義は、無慈悲なモノになりますが、保護する産業を政府が決めるのでは、共産主義と変わらなくなります。

 

金銀に流れ込むマネー

 

著名な投資家やヘッジファンドマネージャーのドラッケンミラー氏やレイ・ダリオ氏は、米財政不安と量的緩和による米ドルの下落に警鐘を鳴らしています。

 

量的緩和による通貨価値の減少は、すでに芽生えていると思います。

 

インフレが起きていない??

 

いいえ、すでに、インフレは起きています。すなわち株式の上昇という形で。新型コロナウイルスで、企業業績が悪化したのに、中央銀行の緩和という劇薬のおかげ、大幅上の株式市場。つまり、現金は、資産インフレにより、価値を弱めていると言える状態です。

 

●NYダウの日足チャート

ダウの日足

 

そのため、金銀への価格上昇圧力も強まっています。目先の金需要は、コロナウイルスの影響&高値のため、新興国を中心に減っています。そのため、高値では、利益確定売りも出ると思います。

 

●NY金の日足チャート 2020年5月29日

金の日足チャート

●東京金の日足チャート

東京金の日足


一段高には、大きな材料が必要。


しかし、長期的な視野では、ドルから新しい覇権通貨への交代準備として、金を買い集める力は大きいでしょう。しかも、基軸通貨の受け皿はありません。

 

次の覇権通貨は何

 

普通に考えれば、次の基軸通貨は、経済力・人口から考えて人民元。でも、そうなるには、通貨の透明性・中国政府への信用が不可欠。まだまだ、その点、足りませんよね。一番人気の人民元は、押し出された本命馬の格好。デジタル通貨も新馬戦を戦っている状態。それゆえに、ドル安の恐怖に怯えたマネーは、金銀へと流れていきます。



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