2020年からの10年間、中国覇権による地政学リスクに注意した方がいい理由

2020年6月25日 投稿

 

新柄コロナの流行の中、続々と中国に関連した地政学リスクが強まっています。これを無視して、政治も経済も語れない話です。

 

中国とインドの国境を巡る衝突では死者が出るなど、中国との国境線で紛争が多数勃発。軍事的衝突は、金・原油をはじめとした商品先物市場の変動要因の一つですから見逃せません。今回は、中国の覇権戦略について、2020年代が危険な理由を解説します。

 

地政学リスク拡大の理由:中国の覇権戦略が、他国と衝突する

 

中国は、アヘン戦争や第二次世界大戦をはじめとした過去の戦争を教訓に、覇権戦略を組み立てています。アヘン戦争以後を繰り返したくないというのが、中国の政治家達の基本にあることが大事。経済大国に成長するなか、資源大国だったものの、自国での生産では足りずに、資源輸入を行う国になりました。特に、原油をはじめとしたエネルギーの輸入は、中国にとって生命線。日量換算で、約1,000万バレルを輸入しており、世界最大の原油輸入国です。コロナウイルスの影響で、安くなった原油とはいえ、大事な戦略物資であることは変わりありません。

 

その大事な原油。中東・アフリカ・南米から輸入しており、インド洋から南シナ海を経由するシーレーンは、原油を運ぶために、必ず守らなければいけません。途中で寸断されれば、原油が輸入できずに、工場が止まってしまいます。

 

真珠の首飾りと列島線戦略

 

それが、中国の地政学リスクとなる真珠の首飾り戦略と列島線戦略につながります。

 

1.列島線戦略:世界に同盟国を持つ覇権国家になるための海軍建設計画。米国を仮想敵として、南米・オセアニアへの航路を確保する戦略。下記の図を見てください。この列島線戦略には、日本列島も含まれており、第2列島線は、沖縄や西日本すら、中国の支配下に入ることになります。

中国の列島線


出典:海上自衛隊幹部学校


2.真珠の首飾り戦略:インド洋からアジアへの海路を確保するための戦略。中東から中国への石油航路を確保することが目的。米国側が、中国のシーレーン戦略の呼び名として命名。

 

第二次世界大戦前、日本がABCD包囲網で、原油の輸入をシャットダウンされたように、中国も原油をストップされると国が成り立ちません。もし、インド・日本・東南アジア・ロシアが米国とともに、包囲網を作り上げれば、ABCD包囲網の再来に。中国は、そうならないように、軍事・経済両面から、各国へと圧力を加えており、地政学リスクが高まる結果になっています。

 

習近平政権が、2014年11月に打ち出した一帯一路も、その延長線上にある話。

 

●一帯:陸上のシルクロード経済ベルト
●一路:21世紀海上シルクロード


両者を結びつけて、中国主導の巨大経済圏を作り上げる構想。もし、中国の経済・軍事力が、このまま、成長していけば、米国を圧倒できるかどうかはともかくとして、東南アジアを支配することは可能になると思います。中国の最善手は、自らの力を蓄えて、熟した柿が落ちるのを待つこと。しかし・・・重要かつ大変な問題が待ち構えているのです。

 

一人っ子政策による高齢化問題で衰退の可能性

 

中国の人口は、史上初めて、2019年に14億人を超えました。ところが、労働人口は、前年比89万人減の8億9640万人と2012年から減少が始まっているのです。中国の国家衛生健康委員会は、2050年に、全体の35%が60歳以上となり、GDPの26%を介護や医療に取られると予想しています。これ・・・かなりまずい状況です。

 

●日本の高齢者(65歳以上が占める割合):28.4% 2019年
●中国の高齢者(65歳以上が占める割合):17.9% 2018年

 

すでに、かなり高齢化していることが、わかりますよね。

 

現在の日本以上の高齢社会が、中国の未来だということ。日本経済が停滞している理由の一つが、人口の高齢化であるならば、中国経済も停滞すると予想できますね。実際、中国が、2桁成長を続けられるのは、人口ボーナスを得られる2015年まで。その後、潜在成長率は、下がると推定されていました。さらに、2020年以降、第一次ベビーブーム世代が、退職年齢を迎えるため、少子高齢化問題は、中国の大きな課題になります。

 

つまり、中国は、2020年代後半をピークに、低成長期に入ると見られています。何しろ。社会保障や環境保全も未整備な中で、国力増大を優先してきた中国。名目GDPなどでは、一時的に、米国を抜くかもしれませんが、そこから、抜き返されるシナリオが有力です。

 

さらに、人口・経済成長の面で、ポテンシャルがあるのは、インドネシア・インド・トルコ・ナイジェリアなど。そう、中国のシーレーン戦略と丸かぶり。彼らの発言力が上がるのは、中国にとって、痛し痒し。親分中国に従う子分が欲しいのであって、対等な関係を望んでいるのではありませんから。

 

アジアの覇権を握るなら、今がラストチャンス

 

さて、将来の中国は、日本のように低成長期に入ることが確実。そうなると、指導者の考えをなぞるのはたやすいですよね。そう、力のあるうちに、取れるだけ取る戦略の誘惑。それゆえに、危険。日本もジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時期がありましたよね。そこからの衰退を隣で見ていたのが、中国の現指導者達です。

 

順調に経済成長していくならば、金持ち喧嘩せずという方法でもいいと思います。しかし、衰えが間近に迫っているのであれば、十分な力があるうちに、軍事力を行使してでも、利権や領土を確保しておこうと考えるのが歴史の通例。無理を通して道理を引っ込ませるには、力が必要ですからね。

 

南シナ海の南沙諸島を実効支配しつつある中国

 

南シナ海
出典:令和元年版防衛白書

 

それゆえ、2020年代の中国は怖い

 

経済成長の鈍化・過剰投資のツケが回ってくるのはこれから。求心力を失った政府は、外に敵を作ることで、国民を一つにまとめる常套手段を取るリスクがあります。

 

新型コロナの影響で、世界経済は需要の一部を失いました。これは、世界の工場たる中国経済に大打撃を与えています。もしも、各国が、コロナの責任を中国に問うようなことがあれば、最悪の展開すら起き得る可能性すら捨てきれません。第一次大戦後の戦後処理がドイツを追い詰めたように、中国を追い詰めれば、窮した彼らは、戦争すらしかねないということを肝に命じておく対応することが肝心。中国を自暴自棄にしないため、平和の手を差し伸べるとあわせて、日米側の自衛力と団結力が必要だと思います。

 

今なら、中国の経済・軍事力は、ピークに近づきつつあります。そのため、2020年代は、中国の力をいかに封じるかが、重大な地政学リスクになることでしょう。商品先物取引においては、金・原油・穀物・ゴムと多くの銘柄が、その影響を受けることになります。



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