過去の最高値を突破した金先物のミライは?ここは、落ち着いて強弱材料を検討すべき時

2020年8月5日 投稿

 

NY及び国内の金先物は、ついに、最高値を突破。2020年7月31日は、12月限が、2,005.4ドルまで上昇とついに、2,000ドルを突破。

 

ここまで上昇すると、金を買うべきかどうか悩むところですよね。新値買うべしのセオリーからは、買い場探しをトレードシナリオに置いておきたいところ。ただし、あまりの急上昇から、ある程度の売りが出てくるのは、覚悟しないといけません。売りに回るのは、材料出尽くしと言い切れない現状では、リスクが大きく、相当、腕に覚えのある方ではないと難しいところです。

 

2020年後半の金先物相場:強弱材料

 

米中の領事館閉鎖など米中対立激化。新型コロナ後の実質金利低下と最近の米ドル売りは、ゴールドの強材料。今後の金相場について、強弱材料をここで、まとめて確認してみます。

 

現在の金先物は、テクニカル的には、非常に買われすぎのレベル。オシレータ系は、天井付近に張り付き。逆に、トレンド系は、上昇一辺倒。NY金先物で、過去最高値を突破したこともあり、未知の領域に入りました。

 

2019年に予想した金先物2,000ドルの目標を突破。ちなみに、当時は、1,420ドルでした。

●NY金先物の月足チャート:2020年7月30日

NY金は史上最高値

 

金の強気材料まとめ

 

1. 新型コロナウイルスによる金融緩和の継続
パンデミックによる景気悪化を支えるための金融緩和は、各国で継続。マネーの供給は増えており、株式市場と貴金属市場に流れ込んでいることが、最大の材料。

 

2.米中対立の激化
香港・ウイグル問題に加えて、米中の領事館閉鎖といった事態にまで進んでいます。米国での大統領選挙を控える中、対中強硬路線に舵を切った米国側の譲歩は、考えにくく、安全資産として、金が買われる展開が続いています。米国は、アジアの覇権をすんなり中国にわたすとは思えません。少なくとも、大統領選挙までは、対立が激しくなると思います。

 

3.実質金利の低下と株式高騰によるヘッジ
米国5年物のインフレ連動債の金利は、2019年末の0.01%から、2020年7月28日現在は、-1.10%まで低下。米国債の5年債利回りも0.24%、10年債利回り:0.56%とコロナウイルスの影響で金利低下の今、世界中の運用担当者は、資金の運用先に困っています。

今後、債券のデフォルトや銀行破綻が起きれば・・・というリスクもありますしね。さらに、株式市場は、ITや製薬企業など好業績の株は高値圏。観光・交通・飲食・ファツションなどは、業績低迷。今後の倒産や失業などを考えると、株式投資のヘッジのため、金を選ぶニーズは、続くと考えられます。

 

4.基軸通貨米ドル売り
新型コロナウイルスの影響で、財政支出を行っていることから、通貨安のリスクがあることは、前からお伝えしていますね。その中でも、激しくなっているのが、米ドル売り。金融緩和と財政支出のセットは、財政赤字拡大による米ドル安になりやすい。一部では、基軸通貨ドルが揺らぐのではないかという報道もなされているほど、米ドルの地位は危うくなっています。そのため、米ドル安金高トレンドが、続いています。


5.EUの新型コロナ復興基金
長い会議の末に、EUは、8兆5,000億ユーロもの予算を新型コロナ危機からの復興予算を成立させました。目先、欧州解体の危機は去り、通貨ユーロの価値は高まったため、ユーロ買いの動きが生じました。しかし、一筋縄でいかないのが、ユーロと欧州経済。状況が悪化すれば、お金の使い方を巡る対立が生じるリスク。そして、巨額の資金投入による将来的な通貨安もまた、金相場を支援することになるでしょう。

 

弱気材料のまとめ

強気材料が多いからこそ、弱気材料に注目することは大事。皆が総強気になった時が、天井というのは相場のあるあるパターンです。

 

1.デジタル通貨の発行で金の役割が奪われる
ビットコインをはじめとした暗号通貨も買われています。しかし、現在の通貨やゴールドの地位を脅かすほどではありません。

ただし、強気材料で見てきたように、通貨安・米ドル安をはじめ、現在の通貨は、大幅に減価しています。このままでは、将来、大きな災厄を引き起こすのではと意見も根強い。何しろ、財政赤字・債務拡大・通貨安の三点セットが埋め込まれています。そのため、金が買われているのですが、そろそろ、中央銀行や国際機関は、次の主役となりえるデジタル通貨を発表してくるかもしれません。そうなれば、安全資産としての金への挑戦者となるでしょう。

 

2.金融政策の変更
株式・金先物、ともに、FRBをはじめ中央銀行の金融政策次第。もし、世界経済がコロナから回復すれば、中央銀行は、金融政策を緩和から引き締め方向に変更します。そうなると、かつてのバーナンキ議長が、量的緩和縮小発言で、株・金の両相場を崩したショックの再来が起きます。そのため、市場関係者の間では、経済指標の悪化こそが、株式市場の味方という矛盾した意見が出てくるほどです。そのため、中央銀行の舵取りの向きを見ておく必要があります。


3.新型コロナウイルスに対するワクチン開発の成功
世界中で、進んでいる新型コロナウイルスに対するワクチンをはじめとした治療法の開発。もし、これが、成功すれば、元通りとはいかないまでも、大きく世界は変わることになります。米モデルナや英アストラゼネカなどは、2020年後半から2021年にかけてもワクチン実用化を目指しています。冬が来るまでにワクチン開発に成功すれば、、明るい未来が戻ってきます。ただし、金相場にとっては、ワクチンの開発成功で、売られることも予想しておきましょう。

 

4.米大統領選挙
米大統領選挙が終わると材料出尽くしで、金の上昇がストップする可能性もあります。米国内の空気に押されて、対中強硬路線を推し進めた二人の候補が、選挙終了後に現実路線に戻り、米中対立をやわらげる方向に向かう可能性もありますからね。

 

5.高値による実需の減少
金相場の高騰と都市封鎖で、宝飾品や工業用の需要は、大きく落ち込んでいます。2020年4-6月期の金需要は、前年同期比11%減の1016トン。特に、宝飾品の需要は同53%減の251トンと大幅ダウン。その分、金ETFの需要が拡大して、高値を支えているのが金市場の状況。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)

 

高値だと需要が減り、供給が増える需給の天秤には、金といえども逆らえません。

 

●大阪金の月足チャート:2020年7月30日

金の月足チャート

一目均衡表の雲から、大きく離れて、角度も違うため、調整は出やすい。とはいえ、ローソク足の大陽線に逆らって売るのは危険。


いかがでしょうか。NY・東京とも、高値を更新している金先物。2,000ドルを超えれば、2500~3,000ドルという景気のいい声も聞こえてきます。中長期的な貴金属の上昇トレンドは、続く可能性が高いと思いますが、調整の可能性も捨てきれません。ここは、強弱材料を吟味して、新しい材料が出てくるのを待つ場面だと思います。



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