アベノミクスリセットから菅政権誕生で、思わぬ円高に注意

2020年9月25日 投稿

 

7年9ヶ月続いた安倍政権によるアベノミクスは、ついに終わりを迎えました。後を継ぐ菅首相は、前政権の基本方針を維持する予定。しかし、海外の投資家達のなかでは、アベノミクスがリセットされたと捉える筋もいる様子。また、安倍政権誕生前のように、政権交代が頻繁に起きるようであれば、政治不安から円高プレッシャーをはねのけられないリスクがあると思います。

 

商品先物相場の銘柄は、為替相場の影響を受けやすいため、アベノミクスあらためスガノミクスの成否で、相場が大きく動きます。人気のある金や原油などの国内相場は、米ドル安円高になると、値下がりしますから、為替への対応を意識しておきましょう。

★為替相場と商品先物取引の関係

 

アベノミクスで、為替相場は、円安に舵

 

2012年12月26日に発足した安倍政権は、三本の矢という経済成長戦略を政策の目玉に船出しました。すべてうまく言ったとは言えなくても、長く続いた円高から円安トレンドへと為替相場を変化させたのは、成功。125.84円に達した後、下落する場面もありましたが、安定した円安レベルを保てたのは、大きな成果です。

 

●米ドル/円の月足チャート 2020年9月18日

米ドル円チャート※104円台は買われる傾向。102~110円のレンジ相場が有力

 

安倍首相が辞任したことで、アベノミクスと円安も一旦リセット

 

今回の政権交代は、安倍総理の病気辞任であり、政策が否定されたわけではありません。ゆえに、安倍政権の政策を踏まえたものになるでしょう。金融政策の大幅変更もすぐにはないという予想が大筋です。それだけに、日本の事情からは、ある程度の円安レベルを維持したいところ。しかし、米国や欧州の事情がそれを許さない状況になりつつあります。

 

●米国の金融政策は、雇用の確保を重視する方針。多少、インフレが起きても構わず、金融緩和を続けます。2023年頃まで、ゼロ金利となるのではというFRBの予想及び見解です。

 

●また、欧州中央銀行(ECB)も、ドル安ユーロ高によるデフレや景気悪化を懸念して、ユーロ高が、インフレの押し上げを相殺していると市場を牽制。高すぎるユーロには、警戒を示しています。

 

●ユーロ/ドルの月足チャート

ユーロドルのチャート1.2が壁となっており、超えていくとさらなる上値追い。このレベルから上は、欧州から口先介入が起きやすい。

 

新型コロナによる経済対策&金融政策

 

新型コロナによるパンデミックは、安全通貨&決済通貨としての米ドルに対する需要を増やし、ドル高要因でした。同じ時期に、ゴールドが急上昇したのも安全資産としての理由でしたね。

 

しかし、米国は、3兆ドル規模の経済対策を実施。それに伴い、財政赤字は、前年度から3倍!もの3.3兆ドル(約350兆円)に膨らむと予想されています。コロナの感染者数も多い米国景気の急回復は期待できず、中長期的な米ドル安要因だと考えています。

 

日本や欧州がなかなか利上げできずにいるのに、米国は、いち早く金融正常化を行い、利上げを行いました。その結果、米ドル金利は、先進国通貨の中で有利となり、ドル高へと為替相場を誘導。しかし、新型コロナによる利下げで、そのアドバンテージを失っています。そのため、代替通貨として、ユーロや日本円・ゴールドが高くなりやすい環境。

★金で資産を持つ意味とは・・・

日米関係の安定も為替相場にとって課題

 

さらに、トランプ大統領と良い関係を築けていた安倍首相を失ったのも大きい。菅首相が、トランプ大統領と友好関係を築けるかわかりません。しかも、11月に迫っている大統領選挙でどちらが勝つかも不明。前回の大統領選挙でも、安倍首相周辺は、ヒラリー氏勝利予想が大方で、トランプ大統領との友好度はゼロに近い状態でした。そのため、トランプ大統領勝利と決まり、慌てて友好関係を築いたのです。

 

今回も、どちらが勝つか分からないため、トランプ大統領に肩入れするとバイデン大統領誕生時に苦しむことになりかねず、難しい付き合いを要求されることになります。

 

日米政治の安定が大事なのは、軍事・地政学リスクなどに加えて、貿易や為替政策が影響するから。円安誘導は、通貨安競争を招く政策として、欧米から釘を刺されるやすい。貿易赤字解消圧力がかかってくる可能性もあります。かつて、アベノミクスによる円安は成功しない。なぜなら、欧米が円安を許さないからという予想もあった程です。

 

安倍首相の退陣によって、日米関係が不安定になれば、ただでさえ、円高圧力がかかりやすい。商品先物の投資家は、思わぬ円高に動くリスクがあることを想定しておきましょう。対外投資の関係からも、105円から110円のレンジは、居心地が良い水準が続いており、105円割れは、実需の米ドル買いも多いレベル。ここを割り込んでいくと、大きく下攻めする可能性がでてきやすいと思います。ただ、2020年の秋相場は、大統領選挙を中心に不確定予想が大きいこともお忘れなく!



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