GDPは下がり、通貨供給量は増えているのに「株高・ドル安・金安」に動く市場

2020年12月4日 投稿

 

ここしばらく、ゴールドは、売られています、新型ワクチンの開発などで、リスクオンの流れが生じ、株式市場にマネーが流れ込んでいることがあげられます。米ドル安なのに、金が安くなっているという事態。

 

●市場リスクが下がった理由
・ワクチンの開発⇒経済が回復
・米国大統領選挙の終了⇒不透明感が解消?
・米経済の指標が予想より良かった

 

金融緩和による過剰流動性相場

 

秋から冬にかけて、新型コロナ感染者数が増え、実体経済が苦しんでいるのは、肌感覚で分かります。なのに、株や不動産が上がり続けて、リスクに強い金が下がる。不思議な感じもしますよね。

 

●リーマン時を超える金融緩和で金は上がる!2020年の金は、春先に予想通りに大幅上昇。

金融緩和による金余り

 

株が買われるのは期待感から。米大統領選挙が終わり、バイデン氏への政権移行が進むのではないかという期待。ワクチンの開発によって、経済活動が元に戻るのではないかという期待。そのため、市場が最も嫌う不透明感が解消されました。

 

そして、各国中央銀行が実行している積極的な金融緩和による金余り相場が表面化。余ったマネーが、株式市場を支えています。

 

GDPは下がり、お金は増えた:バブルリスクに注意

 

下記は、米国のGDP(実質国内総生産)

 

●Fred Q3 2020: 21,157.122 (+ more)  2020年11月25日

GDPについて

最悪期は脱したものの、コロナ前の状態に、戻っていません。リーマンの頃に比べると、米経済は、大きく成長しました。そして、新型コロナで、急激な下げを見せています。

 

次に、下記のグラフを見てください。

 

米国M2:2020年11月16日: 19,108.3

米国M2

米国のM2(M1+貯蓄預金、小口定期預金、MMFなど)=通貨供給量を示すグラフで、新型コロナによるパンデミック後、大幅に増えているのがおわかりいだだけますよね。これが、FRBによる流動性アップの成果です。GDPの約21兆ドルに対して、M2は19兆ドルを超えており、増加が顕著。

 

つまり、GDPは増えていないのに、世の中にお金の量が増えている状態。経済は悪く、先行きへの不安も強い消費者は、余っているお金で株を買うため、株が上がるという形。株価は、景気に先行するため、ワクチン開発による景気回復を見越して買い上がっていると言えます。

 

経済・政治リスクが高かった春は、大きく増えたお金の一部が、金ETFを中心に金買いに走りました。実体経済が成長した分、お金の量を増やすというのが正常な運営であり、今回の処置は、経済を失速させないための異常事態。その副作用として、起きやすいのが、株式・不動産のバブル相場です。

 

GDPが下がったのに、お金の流通量が増えている。実体経済と株価の乖離はリスクだと思います。しかし、只今、ゴールドが売られているのは事実ですし、自身の相場観にしがみつかないようにしましょう。

 

経済活動の正常化による金融緩和修正リスク

 

ワクチンが開発されて、経済活動が元通りになればいいのですが、うまくいくとは限りません。リスクシナリオは、3つ。これ以外にもリスクはたたくさんありますが、代表的な3つを上げておきます。

 

1.ワクチン開発までの間に、経済活動がストップし、深刻な経済危機が起きる
2.経済活動が正常化することで、金融緩和が修正される
3.新型コロナで、生産と流通に問題が生じて、インフレが起きる

 

ワクチンの役割は、新型コロナの予防。多くの人々が接種し、免疫を獲得するまでに、時間がかかります。また、人々が、高速・大量に移動することで、風土病がパンデミックに発展するリスクが表に出てきた以上、前のようなグローバル社会を目指すことはできません。そのため、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響は、今後も数年は続くと思います。

 

過剰流動性が、金に向かう時期も出てくる

 

今は、株式市場に向かっているマネー。しかし、リスクが再び拡大した時、金の出番。通常よりもはるかに多くのマネーを流通させてしまったため、世界中で株高が生じているのは、ご紹介したとおり。そして、実体経済以上に株価が上がっているのは、金余りのおかげであり、逆に言えば、お金の価値が下がっているということになります。ドル安なのに、金安は、セオリーに反する形です。

 

特に、米ドルの下げは大きい。となると、株式市場が飽和した時には、ゴールドが見直されることになるでしょう。リスクが表面化した時が、ゴールドのチャンスというスタンスは、維持していて良いと思います。

 

●NY金先物週足チャート

NY金先物

RSIなどインジケーターは、安値圏に入りつつ。週足チャートは、移動平均線(40日)にサポート。

 

フィボナッチから見た金のサポートラインは、こちら

●金先物の週足チャート

大阪金

国内金価格は、海外の金価格が下げていること。円高の影響で、安くなっています。移動平均線の50日、一目均衡表の遅行線に接しつつあります。以前は反発しましたが、割り込んでいけば、下攻めもありえます。トレンドの変化に注意していきたいところ。

 

為替相場は、下記で注意を呼びかけた通り、米ドル安円高傾向にトレンド。この時は、102円を下値の目処と考えていましたが、104円を割り込むなど、そのレベルに近づいてきました。

 

●アベノミクス終了で、思わぬ円高に注意

 

金相場は、テクニカル的な正念場に来ています。今は、新たなリスク材料が登場し、株からゴールドに投資家目線が動くのを待つ相場かなと思います。