2030年の脱炭素社会に向けて、白金相場が面白い!

2020年12月25日 投稿

 

菅義偉首相は、2020年10月26日に、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と、大きな目標を宣言しました。日本だけでなく、欧州・中国も同じように、温暖化ガスを実質ゼロにする取り組みをすすめており、次世代のエネルギー開発に向けて、各国の競争が激しくなっていくでしょう。

 

脱炭素社会と白金相場

 

この「脱炭素社会」で大きなカギを握るのは、水素エネルギー。この水素を活用するために、白金を中心とした白金族を必要とします。プラチナが脚光を浴びる時代が来ました。そして、2020年後半、供給不足が話題になり、白金価格は上昇。

 

以前、書いた記事は、こちら。欧州の水素社会と白金相場:

2020年からの数年は、この白金相場が面白いかも!

 

◆2020年の白金を巡る動き
・白金の供給先は、南アフリカ・ロシア中心で、新規の大規模供給は難しい
・白金価格は、金・パラジウムの高騰で、比較すると割安レベル
・2020年は、過去最高、「37.4トンの供給不足」との予測。
・新型コロナウイルスの影響で、自動車を中心に工業需要は減るも、投資需要は増加。
・新型コロナによる鉱山閉鎖やアングロ・アメリカン・プラチナムの事故で、供給不足。
・新型コロナによる南アフリカランドの下落によるプラチナ価格の下落

 

「白金の供給(トン)」

白金の生産量
Platinum & Palladium Survey 2019

●2021年の白金市場展望
・ゴールドより割安なため、中国を中心に宝飾品需要が、盛り上がり気味。
・排ガスなど環境規制の強化で、中長期的なプラチナの需要は伸びそう。
・パラジウムの高騰で、プラチナへの代替需要は増加。
・欧州のディーゼル車離れで、短期的なプラチナ需要の減少につながる
・世界経済が回復していけば、プラチナ価格は上昇しやすい。悪化すれば、下落しやすい。

 

「白金の需要(トン)」

白金の需要
Platinum & Palladium Survey 2019

 

欧州各国では、自動車による排ガス触媒の白金需要が、今後も減っていきます。ガソリンやディーゼル車を減らしていく方向ですからね。そのため、需要が減るということで、これまで、プラチナ価格は安くなっていたわけです。

 

しかし、今後は、世界的な燃料電池車の普及によって、触媒としてのプラチナ需要が増えていくことが予想できます。また、金価格の大幅上昇により、割安な白金を宝飾品・投資用として利用する需要も期待できます。

 

2030年までに燃料電池自動車を80万台にする目標

 

菅政権は、2030年までに、燃料電池自動車(FCV)を80万台(現在は3800台)に増やすという目標を立てています。世界中の自動車が燃料電池車に置き換われば、1台数グラムといえども、膨大な量の白金を使うことになってしまいます。

 

プラチナは、ゴールドよりもはるかに規模が小さい市場。そのため、緩和バブルで、行き場に困った投機マネーが集中すれば、大暴騰する可能性があります。そうなると、白金価格の将来には、困った事態になるのですけどね。

 

高くなりすぎないように祈る白金価格

 

さて、日本の2050年カーボンニュートラルや欧州の2030年水素重視戦略を見ていると、今後のプラチナ価格は、うなぎ登りの高騰を期待できそうな気がしてきます。

 

しかし、そうとばかり、言い切れないのが白金相場。なにしろ、白金の生産は、南アフリカ・ロシア・ジンバブエ・カナダなどに偏っており、南アフリカ一国で、鉱山生産の6~7割を占める状態です。すなわち、南アフリカで異常事態が生じれば、あっという間に世界のプラチナ供給が絶たれるという危うい状態。

 

プラチナが、希少かつ高価な貴金属になればなるほど、代替技術の開発にメリットが出てくるでしょう。そのため、白金価格が、パラジウムや金と同じように、高騰していけば、代替品の開発にお金が投じられることになります。

 

●NY白金の月足チャート

白金のチャート
長らく壁だった1,000~1,050ドルレベルを抜きつつある。一目均衡表の雲上限を抜けきるか。

 

●大阪白金の月足チャート

白金の月足

2020年1月17日の3,679円を目標に上昇中。

 

日清紡ホールディングスによる炭素触媒の開発は、その有力な候補。炭素がプラチナの代替品として、成功していけば、燃料用電池としての需要は、増えません。そのため、白金価格が上昇すればするほど、代替品開発による下落リスクも出てきます。商品先物は、需給バランスが大事なので、上昇し続けると供給が増えて、値段が下がることを忘れてはいけませんね。

 

触媒需要が減った場合、金価格とプラチナ価格の比較が重要になってきます。ただし、過去に、金価格が上昇した時も、それほど、プラチナは上昇していません。通貨の代替品として、金と白金には、大きな差があるのが現状。

 

目先の白金は、供給不足に対する注目が集まっています。そのため、チャート上のレジスタンスを抜いて、上値を追いかけるか注意していきたい銘柄です。