市場のかんしゃくを抑えきれるのかFRB。株式・金・商品に続き、長期金利上昇で、乱高下リスク!

2021年3月5日 投稿

 

株式・貴金属・穀物と上昇してきたマーケット。株式・不動産・ビットコインと何でも上がる世界に警鐘です。ついに、米国の長期金利が、節目の1.5%を越えて上昇しました。

 

金利上昇で、相場は荒れる

 

 

新型コロナウイルスによるパンデミック。中央銀行の緩和、政府の現金給付による影響は、インフレという形で、返ってくる可能性が高く、コモディティが上昇するという予想が増えています。それも、金先物よりも銀やプラチナ・穀物といった「モノ」に近い商品ほど、買われています。

 

パンデミックが収まると、各国で、未曾有の規模で行った景気刺激策が効果を発揮します。すると、一時的に落ち込んでいた需要が、急上昇。ところが、供給は、急に増やせないので、物価高=インフレになりやすいという構図です。

 

金銀の需給をデータで見ましょう

 

金と銀の需給を見ると、2020年の金需要は、実際に大幅に減っています。この減った分の需要に対して、供給が追いつかなくなる可能性があります。これは、金銀だけでなく、他の商品にも言えることであり、モノ不足ゆえのインフレになりやすい。すでに、商品相場では、原油や穀物も上昇していましね。

 

●銀の需給:Silver Institute社

銀の需給

●金の需給

金銀需給


金の宝飾品需要は、2020年に、大きな落ち込み。

 

株価や景気を下げずに、インフレを抑えたいFRB

 

少々のインフレは問題なくとも、激しいインフレは避けたいというのが、中央銀行の立場。一応、彼らがベストと考えているのが、インフレ率2%。これを超えると悪いインフレ。その点、1.5%を急上昇して越えてきたため、インフレが止まらなくなると怖い。

 

インフレを止めるためには、金融緩和の縮小と利上げという2つの手段があります。まず、金融緩和の縮小=テーパリングを行うことになります。しかし、これは、株式をはじめとした資産価格が下落しやすい。金先物も一時的に下げやすいので、これが、市場のテーマになると危ない。

 

そして、何よりもやっかいなのが株式。現在、高値圏でふらふらしている株式相場は、中央銀行の緩和という支えがなければ、暴落してしまうでしょう。これは、バーナンキ~イエレン~パウエルと続いた中央銀行が、株価重視に動いた弊害。補助金なくして立ち行かなくなった産業のように、株式市場は、中銀に支えられているのです。

 

インフレ2%超を認めているFRB

 

本来なら、インフレ目標の2%を達成した時点で、緩和は緩める方針がセオリー。しかし、パウエルFRB議長は、インフレが平均して2%になることを目標とする。つまり、少々のインフレ(2.5%程度)という方針に変更しました。

 

前FRB議長であり、現財務長官のイエレン氏も、将来のインフレより目の前の景気や雇用を重視すると明らかにしています。インフレは、抑える手立てがあるから、心配ないとまで言い切っています!

 

春、一時的に、インフレ率が高くなる可能性を指摘されている中、それをあらかじめ、市場に許容させることを目的とした発言を中銀関係者が行っているのも、インフレ強気論の味方。少々、インフレになっても、景気や株価を守るしか彼らには方法がありません。

 

テーパリング(緩和縮小)を始めるのは、経済回復が明らかになってから。

 

このテーパリングは、議論が行われるだけで、株式市場や金価格は、下落します。それは、2013年のバーナンキ議長時代に起きました。そのため、パウエル議長は、テーパリングの話題を常に時期尚早と一蹴。できるだけ、金融市場にダメージを与えないようにしています。

 

実際、テーパリングが始まるのは、早くても2022年前半というのが、エコノミスト達の見方。さて、こうなると、市場の催促やかんしゃくが怖いところ。2013年にQE縮小を当時のバーナンキ議長が示唆した影響で、金価格も下落しましたしね。

 

●2013年3月開催のFOMCで、2013年中頃からQE縮小(テーパリング)するべきとの意見が有力に。

 

●NY金の月足チャート:矢印がテーパリング議論で、金価格が下がった時期。

NY金
QE縮小により、市場のお金が減るため、株式・金先物など資産価格が下落。

 

ただし、金には、上昇要因もあります。コロナによるパンデミックの中で、落ち込んだ宝飾品需要が戻る可能性。

 

FRBのコントロールが聞かない悪いインフレ

 

そして、景気刺激のために行われている緩和と財政拡大を持続可能とするためには、通貨の減価が避けられません。通貨安と低金利の組み合わせ以外に、財政や年金を維持する方法はなく、そうなると、中長期的な金価格は、上昇していくことになるでしょう。

 

FRBの低金利政策は、これまで、それなりに機能してきました。しかし、経済本体は、それほど、良くなっていないというのが、大方のイメージでしょう。その中で、緩和縮小できるかどうか。株価・景気悪化リスクを恐れて、悪いインフレが進めば、金価格をはじめ商品相場は、大きく上昇する可能性があります。