取組高から考える相場(金と白金)
11月18日から22日までの金は前週末より8円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は2,886枚、買い越しました。

続いて一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動き、NY金ETF残の推移です。

東京金は11月15日(金)の終値に対し22日(金)は8円値上がりし、2,886枚買い越す週となりました。この週は動きが小さく、大きく玉は動きませんでした。
NY金のETFも18日に売りが出て、その後は動いていない状況です。静かな週でしたね。
東京金の日足チャートを見てみましょう。

11月13日に5,067円の安値を付けてから、とりあえず戻りましたが、鈍く見えてしまいます。ここ最近は商いも細く、力が無い感じです。このまま横ばいで日柄を稼ぎ力を蓄えていくのか?それとも安値を抜けて、下値探りの動きをするのか?というチャートに見えます。
NY金の日足チャートも見てみましょう。

こちらのチャートは10月中に揉みあった下限、1,480ドルを回復できず緩やかなダウントレンドを継続している感じですね、上昇トレンドに入るには、斜めに引いたトレンドラインを上抜けてからと言うことになりそうです。
特別な買い要因が無い限りは、すぐに上昇トレンド突入とはならない感じがします。
続いてNY金、ファンドの取組推移を見てみましょう。

こちらは、毎週火曜日の発表なので、日々の増減は分かりませんが、11月11日の1,450ドルを割った日に、恐らくNY金ファンド差引買残が最小となり、その後の値段の回復とともに取組高を増やし、差引買残も増やしてきたことが分かります。
しかし米国時間11月21(木)日本は12日(金)入電で、劉中国副首相は第1段階の合意に自信を持っているとの、米中問題進展発言を受け、値動きは小さいですが金は腰砕けとなりました。恐らく価格の下落とともに、NY金のファンドも売ってきたものと想像できます。
続いて東京白金を見てみましょう。
11月18日から22日までの白金は前週末より86円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は6,864枚、売り越しました。

トータルは9,103枚の買い越しです。
続いて白金の一般投資家(投資家、取次者経由)の玉の動きと金との鞘を見てみましょう。

こちらを見ると3,100円割れは買い、3,100円台後半は売り、というスタンスで回転しているのが分かります。
続いてNY白金、ファンドの取組推移です。

11月5日は、取組高と差引買残が増えての価格の上昇でしたので、いい形だと思ったのですが、上に走ることができずに崩れてしまいました。
白金はチャート上で※包みの陰線を引くと調整に入りやすい傾向があります。
※包みの陰線
寄付きは高値から買われて強い状態が継続でしたが、ざら場中に前日の安値を割り込み、引けることで、相場が売り転換したのでは?と言われる陰線。この逆は包みの陽線と言い、反転するのでは?と言われる陽線。
東京白金の日足チャートを見てみましょう。

東京白金の日足チャートを見てみますと、三角持合を形成して煮詰まってきていますが、包みの陰線や陽線を引くと、調整や反発のサインになっていることが多いのが分かります。絶対では無いですが、目先の方向性を探る参考にしてください。
さて、香港のデモが何かと話題にでてきますねえ、金相場のニュースの材料となっているので、デモの背景についてざっくりと調べてみました。おさらいしてみましょう。
そもそも今回のデモのきっかけとなったのは、2018年2月に、香港人カップルが台湾へ旅行中、19歳の男性が妊娠中の20歳の恋人を殺害した事件でした。
事件後に犯人は香港に戻ったため、台湾警察が犯人の身柄引き渡しを要請したものの、香港当局は「香港と台湾との間に身柄引き渡し協定がない」ということで要請を拒否。
しかし、この事件をきっかけに香港政府が中国本土・マカオ・台湾にも罪人を引き渡せるように、「逃亡犯条例改正案」を2019年4月に議会へ提出しました。
この香港政府の動きに対して多くの香港市民や力を持つ弁護士グループなどが反対しました。
何故、香港市民は反対したのでしょう?
その背景には2014年12月に香港で起こったデモの総称「雨傘運動」が関係しているらしいんですよ。
このデモは香港の選挙が一般市民による公平な選挙ではなく、香港政府のトップ:行政長官の選出はおよそ1,200人の選挙委員会のみで決められおり、その全てが中国の息のかかった連中しかいないんですねえ、選挙制度を民主的なものに変えるべく行った運動なんですよ。
デモを鎮圧すべく香港政府が催涙弾を市民に撃ち、それを傘でよけていたことから、「雨傘運動」と名付けられました。ちなみに今も選挙制度は変わっていないそうです。
そういった過程のある中、この法案「逃亡犯条例改正案」を可決してしまうと、中国政府が危険だと思う人物は、簡単に逮捕され、中国の支配力が益々上がってしまいます。
香港は中国の中でも「独立自治区」という自由度の高い特別な存在(一国二制度)ですから、このシステムの崩壊は、香港市民の自由を奪うことに直結しますからねえ、日本人が考えるより、危機感は相当なものと想像ができます。
11月20日には香港理工大学に立て籠もっていたデモ隊を制圧したと香港当局が発表しましたが、根本的なことは何も変わっていません。
ざっくりと香港デモの背景を書いてみました。逮捕した学生の処遇を誤ると再び大きな衝突が起きるでしょうね。
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