取組高から考える相場(金と白金) 2019年最強はパラジウムだった
12月23日から27日までの金は前週末より123円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は2,814枚、売り越しました。

トータルは3,563枚の売り越しです。
続いて一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動き、NY金ETF残の推移です。

東京金は12月20日(金)の終値に対し27日(金)123円値上がりし、2,814枚売り越す週となりトータルは3,563枚の売り越しとなりました。売り越しに回ったのが12月16日(月)5,184円で、27日(金)には5,316円まで上昇しています。一般投資家(投資家、取次者経由)少し厳しい戦いを強いられています。
NY金のETFはここにきて価格の上昇と共に、少しずつではありますが残高を増やしてきています。
東京金の日足チャートを見てみましょう。

チャートを見ますと、ここにきて9月5日の高値5,304円を上抜けています。オシレーター系の指数では買われすぎの感はあるものの、3か月半をかけて高値を抜いてきたので、上に走っても不思議ではありません。
NY金の日足チャートも見てみましょう。

こちらはダウントレンドの上値抵抗を破り、上昇トレンドが始まっています。9月4日の高値1,566.2ドルを超えてくると本格上昇の形になります。
NY金、ファンドの取組推移は12月25日に米国はクリスマス休暇だった為、発表は31日火曜日となります。よって今回は掲載できません。
続いて東京白金を見てみましょう。
12月23日から27日までの白金は前週末より65円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は1,954枚、買い越しました。

トータルは1,594枚の買い越しです。
続いて白金の一般投資家(投資家、取次者経由)の玉の動きと金との鞘を見てみましょう。

さて東京白金は、12月19日に久しぶりの売り越しになったものの、23日の下げで大きく買い越しになり、戻れば売ってとうまく泳いでいます。白金の一般投資家(投資家、取次者経由)は金と違ってそつなく動いているようですね。
東京白金の日足チャートを見てみましょう。

東京白金の日足チャートを見ると、金とは違い9月5日の高値3,410円はまだ抜けておらず、27日に上髭となっています。しかし高値からはそれほど離れてはいないので、高値トライは十分できる位置にあると思います。
NY白金の日足チャートも見てみましょう。

NY白金は9月5日の高値1,000.8ドルまでは、まだ50ドルくらいあります。950ドル台は結構上値抵抗になる価格帯でもあります。950ドルを固めてから9月5日の高値1,000.8ドルにトライするのかなあ?といった感じがします。
さて話は変わりまして、2019年の相場で一番上昇したのがパラジウムでした。2019年はパラジウムの上昇が凄かったですねえ、白金も上昇はしたんですけど、大差がついてしまいました。
東京パラジウムの週足です。

パラジウムとは果たしてどういうものなのか改めて調べてみました。
パラジウムは白金族元素の1つでPdで表記されます。
そして主な使い道はガソリン車の触媒として使われるんですねえ、これが約8割、残りが工業用や歯科治療の合金、後はジュエリー用貴金属となっています。
パラジウム生産の8割は南アフリカとロシアなんですねえ、ほぼ4割ずつの生産量となっています。
また「パラジウム鉱山」というものは世界に存在せず、他の鉱物の副産物としてパラジウムは存在しています。南アフリカの場合は、白金の副産物で、ロシアの場合はニッケルや銅の副産物となるんですねえ。
そして、パラジウムが供給不足に陥り価格が高騰すると、南アフリカの場合、白金をたくさん掘って、パラジウムを採ろうとします。ちなみに南アフリカにおける白金とパラジウムの採掘割合は、2018年実績で、白金134.3トン、パラジウム79.5トンなので、63:37くらいの割合となります。まあ鉱山によって割合は変わるので、これは平均ということになります。
また本来、白金の採掘で採算割れをした場合、採掘量を減らし価格を上昇させようとするのですが、副産物のパラジウムが高騰しているため、パラジウムとの合算で採算割れにはなりません。(ちなみに白金単独の生産コストは900ドルを超えていると言われています。)よって今の白金は、採掘量を減らすことによる価格上昇は見込めないんですねえ。
ただ南アフリカの計画停電は白金とパラジウムが採掘できなかったので、両方が上昇しました。
そして、2019年予測はパラジウムの総供給量は284トンくらいで、総需要は340トンくらいあります。

約56トンの供給不足なんですねえ、過去10年で最大の供給不足なんですよ。
一方白金は投資需要が伸びるんですけど、若干の供給過多という見方なんですねえ、白金の投資需要が伸びたということは、価格が上昇した時の売り圧力となってくると想像できます。
パラジウムは価格が上昇しても8割はガソリン車の触媒としての買い手は常にいます。そして物は不足しています。この差が白金とパラジウムの価格差となって表れています。
パラジウムがこんなに高騰すれば価格が安い白金を触媒に使おうとする考えが出てきてもおかしくありませんが、ガソリン車1台当たりパラジウムは5グラム前後しか使わないので、車体価格から見てパラジウムの高騰の影響はそんなに大きくないんですねえ。
それとパラジウムは投機的に買われている部分もあり、利食いが入れば大きく乱高下する銘柄でもあります。
ざっくりとパラジウムにおける今の状況を書いてみました。
相場を考える上での参考にしてください。
今年もこのコラムを読んでいただきありがとうございました。
2020年は読者の皆様が大きく儲かるよう、心より願っています。
なお2020年のコラムは、1月14日からスタートします。
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