取組高から考える相場(金) コロナにより金のマーケットメイクにまで影響が
3月19日(木)から3月27日(金)までの金は前週末より508円値下がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は4,506枚、売り越しました。

トータルは4,854枚の買い越しです。
続いて金の一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動き、NY金ETF残の推移です。

さて東京金は、コロナショックによるボラティリィティの上昇に伴い、証拠金が大きく上昇し、取組高を減らし続けている状況になっています。それとは逆にNY金ETFは米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を行うと発表したことを受けて、ETF残高は増やし続けている状況になっています。
東京金の日足チャートを見てみましょう。

東京金は2月25日の高値5,913円を抜けずに調整の形になっています。米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)は金の買い材料ですが、外部環境に左右されやすい状況もあり、ひとまず一服といった格好です。
NY金の日足チャートを見てみましょう。

NY金の日足チャートも3月9日の高値1,704.3ドルを抜けずに1,699.3ドルで失速の形になっていますが、金だけの環境は、米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を行ったこともあり買いやすい状況にあります。しかし外部環境の急激な悪化は、金を売る気が無くても、売らされてしまう人も出てしまいます。今はそのせめぎ合いの真っ只中とも言えそうです。
続いてNY金、ファンドの取組推移を見てみましょう。

金は3月17日の時点では、価格の下落と取組高の減少で調整気配を漂わせましたが、米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)の発表を受けて取組高と差引買残を増やしてきました。取組は出直りの感じがします。
そういえば3月23日から金の換算値がNY金やロコ・ロンドンの金、そして東京金とありえないくらい乖離したんですよねえ、NY金を円建てにして20~30円くらいの乖離はよくあるんですけど、3月23日NYの週始め(月)に当たる日本時間21時頃に300円以上乖離したんですよ。
本来はマーケットメーカーが値段をつけているから、こんな乖離はないはずなんですよねえ、あくまでも個人的な想像ですが、唯一考えられるのはNYは3月23日から必要不可欠な職を除く全労働者の出勤を禁止したんですよ、これが大きく影響したとしか思えないんですよねえ。
マーケットメイクをするにも両取引所に使う証拠金は半端な金額ではありませんし、個人が在宅でできるシロモノでもありません。
今乖離している金市場で(NYが高く東京が安い状態)、東京市場で金を受けてNY市場で渡せばそれだけで利益がでますが、実際にそれをやると金の丸代金が必要になるし、受け渡し単位や共用品が違うので、商社か専門業者でしかできないのですが、それができれば確実に儲かってしまいます。
だからそんな簡単に儲かる値段は絶対的につかないはずなんですよ。
そしてNY知事はこの措置が何か月も続くかもしれないといっているんですよねえ、いかに今が異常事態かを如実に表していると思います。
また3月26日の日経新聞に出ていたんですけど、NY金とロコ・ロンドンの価格差が100ドルくらい乖離する場面があって、その理由がイタリア国境近くにあるスイスの精錬大手が新型コロナウイルスの影響で操業を停止せざる得なくなり、CMEの金の受渡用の現物が作れなくなって、ありえない価格差が生まれたんですって。想定外の出来事ですよねえ。
そして今はCME(COMEX金)とLBMA(ロコ・ロンドン)が協力し合い受渡し共用品の幅を増やし、価格乖離が収まるように手を打ってきています。
今は本当に想定外の出来事が今は起きてしまいます。一刻も早く、コロナウイルスが終息してほしいものです。
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