取組高から考える相場(金と原油) ありえない価格が付いたのは、WTI原油だけではなかった。
5月8日(金)から5月15日(金)までの金は前週末より123円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は2,484枚、売り越しました。

トータルは2,615枚の買い越しです。
続いて金の一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動き、NY金ETF残の推移です。

さて、東京金は5月15日(金)に終値ベースでの高値更新で引けました。そして、15日(金)夜(18日(月)の計算区域)には先限でも6,000円台に突入しています。ここ1ヶ月の持合いを上抜けた格好です。
NY金ETF残も多少の利食いは出ましたが、ここ4日間は結構な買い増しをしています。
東京金の日足チャートを見てみましょう。

続いてNY金の日足チャートです。

まず東京金の日足チャートは、4月17日の高値5,997円を抜けて6,000円台に突入の形になっています。これを書いているのは5月18日朝なので、15時15分の終値が6,000円を割れて上髭になれば、まだ分かりませんが、終値でも明確に6,000円以上で終わると、上のレンジに突入したのかな?という感じです。
続いてNY金の日足チャートは三角持合いを上抜け4月14日の高値1,788.8ドルに挑戦の形になっていると思います。
続いてNY金、ファンドの取組推移を見てみましょう。

NY金のファンドの取組推移ですが、こちらからは取組も増えず、大きなエネルギーを感じませんが価格だけは上昇している感じです。ただ5月12日の時点では1,706.8ドルと三角持合いの範疇だったので、大きく玉は動いていませんが、5月18日の時点では三角持合いを上抜けているので、差引買残は増えているものと思われます。
取組高に過熱感を感じない中、金価格は上昇トレンドに突入しているので、値段が軽くなってきているのかな?と個人的には思います。
続いて東京原油を見てみましょう。
5月8日(金)から5月15日(金)までの原油は前週末より430円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は420枚、買い越しました。

トータルは1,827枚の買い越しです。
続いて原油の一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動きと2番限月と6番限月のサヤ(価格差)を見てみましょう。

東京原油は4月22日の安値15,710円を当面の安値として切り返している形になっていますねえ。一般投資家(投資家、取次者経由)も20,000円台前半は買い気が少しずつ出てきているようです。また2番限月と6番限月のサヤ(価格差)を見ると、世界各国、都市封鎖解除の動きで経済を回すよう動き出していることもあり、順ザヤが大分縮まっているのが分かります。
東京原油9月限の日足チャートを見てみましょう。

東京原油の9月限の日足チャートにしたのは、10月限が発会し、つなぎ足では順ザヤの分チャートが強まって見えるので、純粋に原油のチャートを見るために9月限の日足チャートを今回は選びました。
改めて東京原油9月限の日足チャートを見てみると、4月22日の大陰線が直近の大きなポイントで、これを書いている5月18日(月)朝の時点では、4月22日の高値22,990円を上回っています。終値ベースで22,990円を上回って引けてくると、レンジが上がってきそうです。
続いてNY原油、ファンドの取組推移を見てみましょう。

NY原油、ファンドの取組推移は、ここ最近下がった時に買い、上がった日に利食いが入るという、ちょっと珍しい動きをしていました。取組高も4月14日の3,339,248枚というのもここ1年で最高の取組高になっています。下がった原油に投資をする人が増えたものと推測ができます。
そう言えばこの間、NYの原油市場でマイナス価格というとんでもない価格が出ましたが、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場でも、0.01円/kWhという価格が先月結構出ていたのをご存知ですか?
一般家庭の電気料金単価がおよそ20~30円/kWhであることを考えると、ありえない値段がついているのが分かります。
普段、電力の取引市場は、電力を売買したい発電会社や小売会社などが利用しており、発電量を見通し、需要と供給のバランスで翌日24時間分の価格が決められています。
しかし、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大された後、30分ごとに区切った1kWhあたりの「スポット価格」に異変が生じたんですねえ。事実上買い手がつかない0.01円が連日のように発生したんですよ。昨年4月は1ヶ月間で一度もなかった底値取引が、計60回超に上りました。
ちなみに2008年のリーマンショック後、半年くらいの最安値を調べましたけど、2009年1月1日~3日と事実上経済が止まっている時でも4円/kWhだったんですねえ、今年4月につけた0.01円/kWhという価格は、コロナの影響がいかに大きいかを表しています。
こんな価格が付くようでは、電力事業そのものが機能しなくなってしまうのではないか?と心配になってしまいます。
このまま感染者が減って、かつての日常が取り戻せることを切に願います。
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