取組高から考える相場(金と白金) 香港デモが、再び激化の様相 金は高値更新後、持合いに移行
5月15日(金)から5月22日(金)までの金は前週末より10円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は4,483枚、買い越しました。

トータルは7,098枚の買い越しです。
続いて金の一般投資家(投資家、取次者経由)日々の玉の動き、NY金ETF残の推移です。

さて、東京金は4月17日の高値5,997円を上抜けた週だったので、一般投資家(投資家、取次者経由)は買い気が出てくる形となりました。19日(火)には6,133円という高値を付けた後の押し目ですから買いが出やすい状況でもあります。
NY金のETF残高は20日に多少利食いが出ましたが、22日には残高量を更新させています。現物の買い気は多少落ち着いたものの、買い気がある状況です。
東京金の日足チャートを見てみましょう。

続いてNY金の日足チャートを見てみましょう。

まず東京金の日足チャートを見てみますと、5月18日(月)に4月17日の高値5,997円を上抜け、翌19日には6,133円まで上昇し、新たなレンジへ突入といった感じだったのですが、米モデルナが開発中の新型肺炎のワクチンが臨床試験で有力な初期徴候を示したと発表したことや、中国の石油需要がコロナショック前の水準を回復したと伝わったことにより、NYダウが900ドル以上、上昇し金が高値から売られる形となってしまいました。金は経済不安で買われている部分と、各国がコロナで財政出動しまくっている部分で買われており、経済の前向きなニュースがでると、金に利食いがある程度出てしまいます。上に走りやすい状況だったのですが、足並みが一回崩れた格好になりました。
NY金の日足チャートは4月14日の高値1,788.8ドルを抜けず、三角持合いの形になっています。取りあえず抜けた方についていく形となっています。
続いてNY金、ファンドの取組推移を見てみましょう。

NY金、ファンドの取組は、金のETF推移と違い過熱感を感じない取組となっています。高い日に買って、安い日に売ってと繰り返している状況です。
続いて東京白金を見てみましょう。
5月15日(金)から5月22日(金)までの白金は前週末より183円値上がりし、一般投資家(投資家、取次者経由)は2,101枚、売り越しました。

トータルは7,671枚の買い越しです。
続いて白金の一般投資家(投資家、取次者経由)の玉の動きと金との鞘(価格差)を見てみましょう。

東京白金の日足チャートです。

東京白金は3月後半から続いた持合いを上抜け、5月21日には2,950円まで上昇しました。しかし、3,000円を見る前に緩んだ格好となっています。取組を大きく膨らませての上昇では無いので、迫力に欠けてしまうのは、しょうがないのかもしれません。
NY白金の日足チャートも見てみましょう。

NY白金は5月20日に943ドルまで上昇しましたが、翌日には大陰線を引いてしまいました。ただNY白金はこれほど上昇したにも関わらず、東京白金はさほど上昇しなかったんですよねえ、それで調べてみたら、ロコ・チューリッヒの白金現物価格はそれほど上がっていなかったんですよ。
5月15日までは、NY白金とロコ・チューリッヒとの価格差は開いても20ドルくらいだったんですけど、5月20日のNY白金高値943ドルまで上がった時は、80ドルまで価格差が広がっていました。本来はNYとロンドン現物市場は、価格差が付きにくいのですが、コロナの影響で、受渡共用品が作れない、輸送が止まって物が運べない状況などが起きてしまうと、このような現象が起きてしまいます。(ちなみに、これを書いている5月25日朝の時点では50ドル(NY白金が上)の価格差があります。)
NY白金の換算値と東京白金の価格差が広がった時は、ロコ・チューリッヒの現物市場が上がっていないことを覚えておいてもよさそうですね。
さて、5月24日香港で、警官隊は催涙弾を発砲し、デモ隊が180人以上逮捕されてしまったのをご存知ですか?
これは、中国で行われている全国人民代表大会(全人代)にて香港に国家安全法を導入するため審議・可決予定に対する抗議デモなんですよ。
コロナウイルスの感染拡大が始まった1月下旬以降、数千人が参加し、最大規模のデモとなったようです。
実はこのデモ2018年の香港人カップルが台湾へ旅行中、19歳の男性が妊娠中の20歳の恋人を殺害した事件が発端となっているんですよ。
ここで、香港の人たちは、何故抗議をするのか?背景をおさらいしましょう。
2018年の2月に香港人カップルで19歳の男性が20歳の恋人を殺害しました。
事件後に犯人は香港に戻ったため、台湾警察が犯人の身柄引き渡しを要請したものの、香港当局は「香港と台湾との間に身柄引き渡し協定がない」ということで要請を拒否。
しかし、この事件をきっかけに香港政府が中国本土・マカオ・台湾にも罪人を引き渡せるように、「逃亡犯条例改正案」を2019年4月に議会へ提出しました。
この香港政府の動きに対して多くの香港市民や力を持つ弁護士グループなどが反対しました。
何故、香港市民は反対したのでしょう?
その背景には2014年12月に香港で起こったデモの総称「雨傘運動」が関係しているらしいんですよ。
このデモは香港の選挙が一般市民による公平な選挙ではなく、香港政府のトップ:行政長官の選出はおよそ1,200人の選挙委員会のみで決められおり、その全てが中国の息のかかった連中しかいないんですねえ、選挙制度を民主的なものに変えるべく行った運動なんですよ。
デモを鎮圧すべく香港政府が催涙弾を市民に撃ち、それを傘でよけていたことから、「雨傘運動」と名付けられました。ちなみに今も選挙制度は変わっていないそうです。
そういった過程のある中、この法案「逃亡犯条例改正案」を可決してしまうと、中国政府が危険だと思う人物は、簡単に逮捕され、中国の支配力が益々上がってしまいます。
香港は中国の中でも「独立自治区」という自由度の高い特別な存在(一国二制度)ですから、このシステムの崩壊は、香港市民の自由を奪うことに直結しますからねえ、日本人が考えるより、危機感は相当なものと想像ができます。
ざっくりと香港デモの背景を書いてみました。再び、デモが激化してもおかしくない状況になってきました。2019年は香港のデモを理由付けした、相場のニュースが多かったので、ざっくりと書いてみました。
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