取組高から考える相場(金と白金) 金価格の反発は本物?それとも下げ過ぎの戻り?
まずは金の価格と、NY金ETF残の推移から見てみましょう。

国内金は6,000円割れから反発した形となりました。
この時の6,000円割はドル安にも関わらず、でしたから、さすがに売られすぎ感が強まった場面でもありました。
NY金ETF残高は、ドル安による金価格の戻りに合わせて減らしているのが分かります。
米国10年債利率も緩やかな上昇傾向にあります。株の方へお金が回っている感じです。
大阪金の日足チャートを見てみましょう。

国内金の日足チャートは6,000円割れから反発を見せましたが6,200円辺りを上値抵抗に揉み合いとなっています。
今、金価格が戻りを入れているのはドル安による面が強いだけで、現物買いの人気は無く、金利も上昇傾向なので、7,000円を目指すような力は、今のところ感じ取れません。
続いてNY金の日足チャートです。

NY金は1,800ドル割れから、とりあえず上値抵抗になりそうな1,850ドルまで戻しました。
今はドル安傾向なので、さらにドル安が進むようであれば、上のレンジに突入することはあると思います。
ユーロドルの日足チャートも見てみましょう。

ドル安が進みましたねえ、金の人気が強い時で、今のユーロドルだったら、ドル建て金は、楽々高値は超えていたものと思われます。
ドル建て金がどれくらいになる可能性があったか、コラムの最後に書いてみます。
NY金、ファンドの取組推移です。

NY金のファンドは差引買残を価格の上昇と供に増やしましたが、取組高は減少しています。
売りの買戻しの部分が強く、資金の流入は感じ取れない形です。
続いて白金の価格と金の鞘(価格差)を見てみましょう。

白金の採掘・操業減と投資需要の伸びにより、37トンの供給不足が発表されてから、国内白金は久しぶりに上げ足を強めてきました。
逆に金は、ワクチン開発の進展と世界の中央銀行が、第3四半期に10年ぶりの売り越したことにより、下落傾向に変わっています。
それにより金と白金の価格差(鞘)は高値から1,000円くらい縮まりました。
続いて大阪白金の日足チャートです。

大阪白金の週足チャートも見てみましょう。

国内白金は8月7日の高値3,390円を超えて、今年1月の高値3,679円にチャレンジの形となってきました。
白金は持ち合うことが多いですが動き出すと、値位置を一気に変えてくる銘柄でもあります。
ただ、白金の供給不足は投資需要の伸びによる面も強くあるので、急激な利食いにより、乱高下する場面も当然起きてくることもあると思います。
NY白金の日足チャートです。

NY白金の週足チャートも見てみましょう。

日足、週足、共に上へ抜けてきました。とりあえずは上の流れとなっています。
金と白金の価格差(鞘)日足終値チャートです。

金と白金の価格差(鞘)は順調に差を縮めています。
3月ごろ2,600円近辺で揉み合っていますが、これを抜いてくると次は2,161円辺りが見えてきます。
NY白金、ファンドの取組推移です。

NY白金の取組高や差引買残は、ここ最近の価格の上昇で共に増やしてきています。
ただ人気が一気に付いた形では無いので、徐々に増加傾向といったところです。
白金は値段が比較的軽い為、取組高や差引買残が増えてくると、ファンドの逆指値などがヒットし、価格が大きく動くこともあるので、振り回されないように注意が必要です。
さて金は、ここにきて反発しました。国内チャートで見れば、6,000円割れから反発をしたように見えます。
NY金を見れば1,800ドル割れから反発したように見えます。
相場というのは何かを理由に反発したり、急落したりします。
今回はユーロドルと金(ゴールド)との関係
それに合わせて、米国10年債の利率の推移
NY金ETF残高の推移を合わせて、見てみようと思います。
これらを合わせて見ると、金(ゴールド)の状況がほんのりと見えてくるかもしれません。
あくまでも考え方の一つなので、こういう見方もあるのかな?程度で見てもらえばと思います。
まずは金とユーロドルの相関のグラフです。

さて上に載せたのは個人的に作った、NY金とユーロドルの相関のグラフです。
NY金の終値とその時間のユーロドルを割り算し、グラフにしています。
なぜこのグラフを作ったかというと、そもそも世界の中央銀行が金(ゴールド)を持つ理由は、基軸通貨であるドルの価値をヘッジするためなので、切っても切れない関係だからです。
なので、金の価値が下がり、ドルの価値も下がってしまっては元も子もありません。
上のグラフは6月5日に1,484まで下がるも、その後は金(ゴールド)がコロナウイルスによる不安、世界各国の経済対策による紙幣の増刷などで一気に金(ゴールド)が注目を浴び、ユーロドルよりも金(ゴールド)の購買意欲が強まり、8月6日には1,744までユーロドルに対し金(ゴールド)が買われた形となりました。
中央銀行にとってはドルに対するヘッジで買った金(ゴールド)が急激に価値を持ったので、世界各国の中央銀行トータルで第3四半期は10年ぶりの売り越し(ドルへの現金化)となりました。
それからワクチンの進展も重なり、金(ゴールド)の人気は下降気味です。
そして11月30日には1,490まで売られるも、6月5日の安値1,484を前に、切り返しとなった格好です。
このグラフはあくまでもNY金の終値とその時間のユーロドルだけなので、日本時間の場中は5,900円まで突っ込み、上のグラフに当てはめると1,476まで突っ込んでいました。(東京時間はユーロドルに対し比較的、相関が弱まるので、このようなオーバーシュートがおきます。)
さらに、NY金ETF残高推移と米国10年債の利率推移のグラフも作ってみました。


3つのグラフを見てみると、NY金ETF残高が増加傾向、米国債10年利率下落傾向に併せて、ユーロドルに対する金(ゴールド)の、買われぶりを見ると、人気が一気に集まったのが分かります。
もしも今、金が買い人気で、今のユーロドルをあてはめてみると、NY金は、(1.2140×1,744=2,117ドル)2,117ドルを付けていてもおかしくなかった計算になります。
またこれを円建てに直すと(2,117ドル×104.03÷31.1035=7,080円)7,080円くらいあっても不思議ではありませんでした。
金(ゴールド)は人気が付くかどうかで、1,000円くらい変わることが分かります。
今の金価格の反発はユーロドルに対し売られすぎになり、且つドル安によること、というのが見えてきました。
金(ゴールド)が本格反騰に至るには、金(ゴールド)そのものに人気が必要となります。
これはあくまでも個人的な見方なのですが、6月5日のNY金/ユーロドルの安値がポイントになったので、このようなグラフを載せてみました。
相場を考える上で参考にしてください。
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