米中貿易協議の長期化と覇権争いの激化へ

    • 更新日:19/05/14
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米国と中国の貿易戦争が激化した。米中両政府による通商協議は決裂し、米国は2000億ドル分の中国製品に対する追加関税を10%から25%に引き上げた。米国は総額2500億ドル相当の中国からの輸入品に25%の関税を適用した。米国は、今回の協議決裂で残り約3000億ドル分の中国製品に対しても関税を発動する方向で準備に入った。今後も交渉は継続される見通しだが次回会合の日程すら決められていない。13日中国国務院(政府)は、2018年9月に5~10%の追加関税をかけた600億ドル(約6兆6千億円)分の米国製品に、関税率を5~25%に引き上げると発表した。6月1日から実施される。トランプ米政権も中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表した。関税の応酬を巡る米中の衝突が激化している。中国の追加関税の対象となるのは約5200品目。


中国は大詰めを迎えていた対米貿易協議で、貿易慣行の是正策を盛り込んだ合意文書案の大幅な修正を協議の直前に要求、交渉は米中双方の対立点を鮮明にした。中国は合意案がバランスに欠けていると主張。中国が譲歩したとの印象を国民に与えかねない内容を拒絶した。


中国国営新華社通信は11日、協議の対立点として
  (1)追加関税の全廃
  (2)輸入拡大の現実的な数値目標
  (3)バランスの取れた合意文書

の3点を挙げた。


中国は米中貿易協議前の今月上旬、知的財産権侵害や米企業に対する技術移転強制などを禁じる法整備の約束を撤回し、合意案の修正を求めた。合意案はいずれも中国側の譲歩を印象付ける内容で、協議に参加した劉鶴副首相は中国メディアに「どの国にも尊厳がある。合意文書はバランスが取れてしかるべきだ」と不快感を示した。中国はまた、輸入拡大の数値目標に関し、米国の求める対米貿易黒字の短期間での解消は非現実的との認識を示唆した。これが米国の制裁関税撤廃の条件になれば、制裁が永続化しかねない。この問題の本質は関税の率や品目ではなく、覇権争いである。米国が強く要求しているのは、「知的財産権の保護」「為替の自由化(為替介入禁止)」「資本移動の自由」「外国企業への経営介入の禁止および差別的扱いの撤廃」等。これらが法律により担保され、行政(共産党)による恣意的運用ができない行政・司法環境も求めていること、時間的な目標を定めた上で、米国が前述の履行を監督できるような体制も要求。米国としては、次代の覇権国家の地位を狙う中国の根幹部分を押さえ、監視も要求した。中国は、IT先端分野の競争力を高め、需要を創出したい。それが、中国が海外企業からの技術の吸収(技術移転)と、政府補助金の支給を通した産業育成を重視する理由。中国がこの考えを変更するとは考えづらい。仮に米国が中国に妥協した場合、どうなるか。華為技術(ファーウェイ)が典型例だが、中国はIT分野などで米国原産の技術を応用するかたちで世界市場のシェアを奪うことは間違いなく、それは最終的に米国の敗北を意味する。


今後の協議は、6月28日から大阪でG20が開催される。米中首脳会談が、実施され貿易協議が主要議題となるであろう。米国の関税第4弾の3000億ドルは、6月17日~24日まで公聴会で意見を聴取する。実施は、最短で6月28日の首脳会談に合わせて準備されている。米中の協議合意への溝は、大きく中国が大幅に妥協しないかぎり合意は困難と見られる。首脳会談でも交渉が決裂した場合は、即日関税引き上げに動くことが想定される。



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