米中貿易協議を巡るマスコミを利用した前哨戦-米長期金利動向に注目

  • 更新日:19/11/11
今週の日経平均株価、ドル・円想定レンジ:

・日経平均株価      22950円 – 23850円
・ドル・円      108円55銭 – 110円52銭
・東京金価格            5050円 – 5220円

先週の日経平均株価は、週間では5週連続上昇。10月に入ってから日経平均株価は、7%強の値上がりとなっている。今週は高値一服も想定される一方、米中絡みの動向次第で上下に振らされる可能性もある。


今週のポイント:

米中貿易協議-合意へ首脳会談開催と関税撤廃報道で振らされる展開か

11月中旬に予定されていたチリでのAPECが中止されたことから、米中首脳会談の日程が定まらない状況となっている。12月15日の米国の第4弾追加関税引き上げまでに両国は何らかの合意に漕ぎつけるとの期待は強い。


トランプ米大統領は8日、対中関税の撤回で合意していないと明らかにした上で、中国が自身に関税撤回を望んでいるとの認識を示した。米中が貿易戦争を終結させる時期を巡って疑念が再燃した。


米中双方の当局者は7日、通商協議の「第1段階」の合意の一環として、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に撤廃することで合意したと明らかにした。ただ、追加関税の段階的撤廃には、ホワイトハウス内外から強い反発の声が出ている。


トランプ大統領は「中国は多少の関税撤廃を求めているが、全てではない。なぜなら、私がそうしないことを分かっているからだ。私は何も合意していない」と述べた。更に、中国側が自分以上に合意を求めているとも指摘した。


トランプ大統領はこのほか、中国との合意が成立すれば米国で署名したいと表明。「農業州であるアイオワなどが考えられる」との考えを示した。


ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は電子メールで、米中が関税の段階的撤廃で合意したという情報を巡り、記者が中国の「プロパガンダ」に「踊らされた」と批判した。米中通商交渉に関する報道の多くが匿名筋に頼っているとし、トランプ大統領とライトハイザー通商代表部(USTR)代表のコメントのみを取るべきと強調。「国のために匿名筋による『サーカス』はやめるべきだ」と述べている。


今週も米中の合意条件(関税)に係る前哨戦としてのマスコミを利用した両国のプロパガンダが継続することが想定される。特に中国通信社および中国関係者の報道が、合意を少しでも自国に優位に進めることを目的として出てくることが考えられる。


今週国内外企業決算が一巡

日米決算発表は今週には一巡するが、足もとでは想定どおり減額修正が目立つ。しかし「7-9月期あるいは10-12月期が業績の底」との見方から株価は押し目買いが優勢になっている。12日のSMC、ソニー、JFEや日産自動車、13日の三菱UFJフィナンシャル・グループ、近鉄、14日の日本郵政、みずほFG、第一生命などが注目される。海外では、14日に半導体関連の米アプライド・マテリアルズやエヌビディアが決算予定。


また、経済指標では14日の10月中国鉱工業生産など、15日の米10月小売売上高など。国内では11日の9月機械受注や14日の7-9月期実質国内総生産(GDP)が注目される。


日米欧長期金利動向に注目-米10年債1.90%台へ

注目されているのが、米国の長期金利の上昇。米国10年債利回りは1.9%台に乗せてきました。これを受け、8日の東京市場ではREIT指数が大幅安となりました。東京金価格も5100円台前半に下落しました。


日本や欧州の国債利回りがファンダメンタルズと乖離して低下していたことでその反動が起きているといえる。ファンダメンタルズと乖離してまで低下していたのは、ECBや日銀への過度な金融緩和策への期待が背景にあったと考えられる。FRBの利下げ観測も当然ながら後押しをしていた。FRBも市場の期待通りに利下げを行った。しかし、これによってむしろ金融緩和の打ち止め感が強まった。


欧米の追加緩和期待の背景にあった米中貿易戦争関税の掛け合いについては、いったん休戦の雰囲気となってきている。これも、リスク回避の反動を招き、その結果として欧米の長期金利が上昇し、日本の長期金利も追随している状況。


11月1日に発表された10月の米雇用統計など予想を上回る指数に反応しやすくなってきている。思いのほか景気は悪くはないとの見方も、異常な水準に低下していた長期金利を引き上げた要因となっている。


長期金利の落ち着きどころは、日本の10年債利回りのゼロ%あたりが意識されるであろう。米10年債利回りは、2%前後が意識されるとみられる。日米とも物価がそれほど上昇していないことからも、国債への売りが一巡すればこのあたりで、落ち着きどころを模索すると思われる。今までの過度な金融緩和期待が一旦終了したことが極めて重要と思われる。


今週の東京金価格

東京金は、中心レンジを5100円台に移行し、米中貿易協議の進展度合いや米国長期金利動向を見ながらの展開を想定。世界的な景気減速で各国の中央銀行が、金融緩和政策を推し進めてきた中、主因であった米中貿易戦争休戦への期待感がある環境では、調整色に強い足踏みの展開であろう。


今週の国内株式市場

今週の株式市場は、米中貿易合意関連の発言に左右される展開が継続するであろう。また、国内外主要企業の決算発表も今週で一巡することから業績底打ち期待に市場が移行するかであろう。売りすぎた海外投資家の日本株買戻しが10月月間ですべて買い越しに転じている。この傾向は、11月以降も継続することが考えられることから底堅い相場展開を想定している。


為替ドル・円

先週ドル・円は、8日未明に109.48円まで続伸して10月31日と11月6日の両高値によるダブルトップラインを超えた。テクニカル面では、ドル続伸の可能性が高い状況となっている。目先は、米中貿易協議の発言に左右される展開であろうが、110円超を目指す流れの確立が高いと見ている。


今週の主な経済指標:

11日: 9月機械受注(8:50) 
          10月景気ウォッチャー調査 
          9月国際収支・経常収支 
          英 7-9月期 GDP(18:30) 
12日: 10月マネーストック(8:50) 
          10月工作機械受注(15:00) 
          独 11月 ZEW 景況感指数(19:00) 
13日: 10月国内企業物価指数(8:50) 
          NZ 準備銀行金融政策決定会合 
          米 10月消費者物価(22:30) 
          米 10月財政収支(14日 4:00) 
          パウエル FRB 議長は米議会の上下両院合同経済委員会の公聴会で議会証言 
14日: 7-9月期 GDP(8:50) 
          中国 10月都市部固定資産投資 
          中国 10月工業生産 
          中国 10月小売売上高(11:00) 
          ドイツ 7-9月期 GDP(16:00) 
          米 10月生産者物価(22:30) 
15日: 米 10月輸出入物価(22:30) 
          米 11月 NY 連銀製造業景気指数(22:30) 
          米 10月小売売上高(22:30) 
          米 10月鉱工業生産・設備稼働率(23:15) 


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