米中貿易協議報道、香港情勢に要警戒-投資家のヘッジ解消に注目

  • 更新日:19/11/18
今週の日経平均株価、ドル・円想定レンジ:

・日経平均株価      22900円 – 23650円
・ドル・円      107円50銭 – 109円50銭
・東京金価格            5020円 – 5250円

先週の株価は、米中通商合意を巡る楽観的な発言を追い風に米国株式が連日史上最高値を更新した。ダウ工業株30種平均は、初めて2万8000ドル台に乗せた。日本株式も高値からの押しは、あるものの非常に浅い押しで堅調推移した。


今週のポイント:

米中貿易協議-部分合意への期待増すも楽観、悲観報道交錯

アメリカのロス商務長官は、15日、FOXテレビに出演し、中国との第1段階の貿易協定の署名に向けた協議について「最終段階にある」と述べ、合意が近いことを示唆した。


中国商務省は17日、貿易問題を担当する劉鶴副首相が、16日午前、アメリカのライトハイザー通商代表やムニューシン財務長官と電話協議を行ったと発表した。17日の発表では、「双方が最も関心のある点について、建設的に意見を交わした」としていて、関税の一部撤廃をめぐりアメリカ側と意見を交わした模様。


中国商務省は「双方は今後も密接に意見を交わしていく」としていて、第1段階の合意の正式な署名に向けて、両者の駆け引きは市場の想定より長く今後も続く可能性はあり波乱含みであろう。


経済的側面の香港情勢-デモ継続と衝突激化長期化へ

香港情勢の緊迫化に伴い、香港ハンセン指数や上海総合指数の影響を受けて、日経平均は神経質な展開を見せた。24日に香港区議会(地方議会)選挙を控えている点も懸念材料。


香港はかつて政治的にも経済的にも独立性を有していた。これらの独立性が失われれば、中国本土と比較しての競争優位性ないし制度的実力も薄れ、中国本土の格付けとの差が縮まる可能性が出てくる。中国本土と比較しての競争優位性ないし制度的実力も薄れていく。


香港の衰退から経済的利益を受けるのは、特にシンガポールと台湾。金融セクターでは、シンガポールは香港からアジア主要金融センターの座を奪い、世界に君臨するだろう。もう1つは、台湾の利益。香港が何からの形で「終了」した場合、逆説的だが、台湾の地位が保全される可能性が高まる。一国二制度の失敗が明確に証明された以上、「No more Hong Kong」の流れが台湾の国際的地位を向上せる。


現状は、香港情勢が日経平均に影響を与えているが、長期化にともない徐々に経済的な材料としての香港問題の経済的な比重は、低下していくものと考えられる。


大手銀行保有の「ベア型投信」株価指数先物変動の増幅要因

日銀が10月24日に公表した金融システムリポートは、地域金融機関に経費節減や非金利収入の拡大を促したことなどに注目が集まったが、金融機関の有価証券投資について言及した同リポートの23ページに「大手行では、引き続き株式投資信託に関して厚めの残高を維持しつつも、債券や政策保有株式等の評価損益を管理するための「ベア型」の投資信託を積み増す先がみられ、足元の残高増加のかなりの部分を「ベア型」が占めているとみられる」と記された。


そのうえで脚注には「投資残高ベースでは、『ベア型』は大手行の投資信託残高の約5割を占める」との説明が付いた。日銀によると、2019年8月末の大手行の投信残高は約7.5兆円。ベア型は3兆円台後半で推移していたと推測される。「ベア型」投信は、株価の下落局面でリターンを得るために組成されている。日銀によると、2019年8月末の大手行の株式保有残高は約6.4兆円。多くは企業との取引関係を重視して保有する「政策保有株式」とみられ、その損失リスクを抑制するために保有したのが、「ベア型」投信だったとみられる。


昨年から米中貿易摩擦が激化し、株価下落リスクの高まりが意識され、そのことも「ベア型」の保有に大手行が傾いた大きな要因だったと思われる。この「ベア型」が、東京市場で株価押し上げに一役買ったのが今月5日。米中通商交渉の部分合意観測が高まり、4日の米株が大幅高となり、5日朝から日経平均は足取り軽く上昇。午後になって一段と上げ、401円高で引けた。その背後に大手銀によるベア型投信解約による「上げ効果」が加わっていた模様。


今後の注目されるケースは、足元で膠着(こうちゃく)している米中通商交渉で期待された「部分合意」が成立し、米国の関税撤廃の範囲が予想を超えるケース。そのほか想定外の出来事でリスクオン相場が急進展した場合、「ベア型」投信のまとまった解約が発生する可能性がある。しばらくの間、「ベア型」投信解約の破壊力を注視する必要があると考える。


今週の東京金価格

東京金は、米中貿易協議一部合意の進展度合いと米国長期金利、ドル・円動向を見ながらの展開を想定。上述の3要因に大きな変化がなければ5100円台でのもみあい推移での可能性が必然的に高くなる。ただし、米中貿易協議一部合意への期待感の強い現状でも5100円をキープしていることを考え合わせると米中協議の悲観論が高まり米長期金利が低下傾向を示し始めた場合には、5200円台へ水準を上げる可能性も低くはない。


今週の国内株式市場

今週の株式市場は、米中貿易合意関連の発言に再び左右される展開が継続するであろう。また、国内外主要企業の決算発表も一巡したことから業績底打ち期待に市場が移行し個別株物色が強まってくるであろう。海外投資家の日本株買戻しが10月月間ですべて買い越しに転じている。この傾向は、11月第1週でも買い越しが確認されており、継続することが考えられることから底堅い相場展開を想定している。米国経済指標では住宅関連指標や地区連銀製造業指数に注目が集まる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は10月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する予定で、今後の利下げ軌道を探る上で注目される。


為替ドル・円

ドル・円のテクニカル分析では、一目均衡表の三役好転で買いの時代を継続している。しかし、ダブル・トップ(109.49円・109.48円)の可能性が払拭されていないのが現状。また、108円台には、一目均衡表・基準線108.69円や転換線108.87円、今年のレンジ(112.40円-104.46円)の中心値108.43円などの攻防の分岐点が集中し、200日移動平均線が109.00円に位置していることで、どちらに離れるか予断を許さない状況が続いている。


今週の主な経済指標:

18日: 米 11月 NAHB 住宅市場指数(19日 0:00) 
          米 9月対米証券投資(19日 6:00) 
          米政府によるファーウェイへの制裁措置の一部猶予期限 
19日: 米 10月住宅着工件数 
          米 10月建設許可件数(22:30) 
20日: 10月貿易統計(8:50) 
          10月訪日外客数 
          FOMC議事録公表 
21日: 9月全産業活動指数(13:30) 
          米 11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(22:30) 
          米 10月 CB 景気先行総合指数(22日 0:00) 
          米 10月中古住宅販売件数(22日0:00) 
22日: 10月消費者物価(8:30) 
          G20 外相会合(~23日名古屋) 


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