米国年間消費の40%を占めるクリスマス商戦、週末の米雇用統計に注目-香港問題の貿易協議への影響も注視

  • 更新日:19/12/02
今週の日経平均株価、ドル・円想定レンジ:

・日経平均株価      23000円 – 23750円
・ドル・円      108円50銭 – 110円55銭
・東京金価格            5080円 – 5230円

米中貿易協議で第1段階合意の可能性に不透明感が増大している。トランプ米大統領は27日、香港の自治と人権擁護を目的とする「香港人権・民主主義法案」に署名し、同法は成立したが、この動きに対して中国側(外務省)は「断固反対する」と表明し、米中通商協議の行方は不透明となってきている。相場への影響が大きい米中の通商交渉に関するニュースには、引き続き神経質な展開を強いられることになるであろう。


今週のポイント:

米中貿易協議-第1段階合意-香港問題がからみ後退懸念

中国政府は、米国政府の制定した香港人権・民主主義法案に対する制裁として面子を保つ為対抗措置を発動せざるをえないであろう。貿易協議に関連する事項は、第1段階合意の署名先送り、来年に持ち越しで米国政府の出方を静観する可能性がある。


今月15日追加関税に関しては、トランプ大統領が判断を下すため目先の最大の注目ポイントになるであろう。


香港問題の中国本土への伝播

香港で1日、11月24日の区議会(地方議会)選後初めてとなる大規模な反政府デモが行われ、主催者発表で約38万人が参加した。警官隊もこれまで自制してきた催涙弾を連日発射するなど、選挙前から続いていた“休戦”は事実上終了した。


中国は、国内において地方債務問題など多くの内憂を抱えており、香港や台湾問題に関しても中国共産党による一党支配体制を揺るがしかねない状況に追い込まれている。香港の逃亡犯条例改正案が提起された背景には、実は「香港最高裁判所の裁判官17人のうち15人は外国人である」という、驚くべき事態が厳然と横たわっている。


これは香港返還の時の基本法で認められているので、なかなか改正できない。そのため北京政府は香港政府に命じて香港の民主活動家を北京が裁けるような仕組みを作ろうとしたのが逃亡犯条例改正案である。だからデモが激しくなった。米国は、この点を利用して香港の民主活動や台湾を応援し、香港台湾は米中覇権争いの最前線となっている。


更に香港デモの影響は、中国広東省茂名(ぼうめい)市で、火葬場の建設に反対する地元住民と警官隊が衝突、負傷者が出た。米政府系のラジオ自由アジア(RFA)などが1日までに伝えた。抗議活動に参加した住民らは、広東省に隣接する香港での反政府デモのスローガン「時代革命(革命の時代だ)」を叫んでいたという。


中国当局は香港の混乱が本土に飛び火することを厳戒している。茂名での衝突は本土で一切報じられておらず、関連の書き込みなども次々と削除されている。


茂名の公園予定地に火葬場が建設されることを知った住民ら数百人が28、29日の2日間にわたって街頭で抗議活動を展開。警官隊は催涙ガスを発射したり、警棒で住民を殴打したりして押さえ込み、約50人が逮捕された。高齢者や小学生も負傷したという。香港デモの本土への伝播という中国政府がもっとも恐れる事態に影響が拡がり始めている。


米国年末商戦-雇用・所得・資産効果良好で前年比+4%増を想定

米国の年末商戦が28日の感謝祭と翌日の「ブラックフライデー」から本格化する。米小売り企業は年末商戦で売り上げの4割前後を稼ぎ出す。


休暇入りした消費者が、激安商品を目当てにブラックフライデーに店に繰り出すほか、翌週月曜にオンライン通販大手が安売りを仕掛ける「サイバーマンデー」も浸透した。


中国との貿易摩擦が影を落とす中、米経済を支える個人消費の底力が問われる。調査機関は小売売上高が前年比4%前後の伸びになると予測しており、今は消費の死角がみえない。一方で、小売り企業が発表した年末商戦を含む業績予想は明暗が分かれ、米中対立の傷跡も鮮明になってきている。


全米小売連盟(NRF)は、今年11~12月の小売売上高が前年同期比3.8~4.2%増えると予測。米調査会社イーマーマーケッターも3.8%の伸び率を見込み、総売上高が初めて1兆ドル(約109兆円)を超えると予想している。


米国の失業率は半世紀ぶり低水準で推移し、好調な雇用が消費を下支えする構図は健在。更に株式市場も史上最高値を更新している。雇用・所得・資産効果は、極めて良好である。貿易摩擦や世界経済減速が米消費を下押ししているが、米国経済の勢いをみれば昨年より一段と力強い年末商戦が期待できそうである。


今週の東京金価格

東京金は、先週5100円前後での足踏み相場となった。今週も米中貿易協議の報道が変動要因として大きく作用するであろう。年内合意が難しくなる中、香港問題もからみ金価格の下値を強くサポートしている。中国政府の米国に対する報復の内容と貿易協議に対する影響で金価格の上値が決まってくるであろう。ただし、週末の米雇用統計で強い数値には、注意が必要。


今週の国内株式市場

今週は、米ブラックフライデーの出足が低調過ぎる事態にでもならない限り、相場基調は崩れないであろう。12月2日のサイバーマンデーへの期待も根強く、本格化する米クリスマス商戦の話題が日経平均を下支えするであろう。ドル・円も109円台半ばで安定的に推移している為替相場が一段の円安になれば、下値抵抗を強めている日経平均は上値を窺う展開もある。限られた動きとなっていた海外勢のフローも翌週末13日のメジャーSQに向けて、買戻し動意を強める可能性がある。米国など海外主要指標は、2日に米11月ISM製造業景況指数、米サイバーマンデー、4日に米11月ADP雇用統計、米10月製造業受注、ユーロ圏7-9月期GDP確定値、6日に米11月雇用統計、8日に中国11月貿易統計が予定されている。


為替ドル・円

今週のドル・円は109円台のもみ合いを想定。米主要経済指標の改善を受けて景気底入れが意識され、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ打ち止め観測が広がっている。ただ、米中通商協議の先行きは不透明であり、ドルを下押しする場面もあろう。発表される11月ISM製造業景況指数や11月雇用統計など、金融政策に大きな影響を与える経済指標が予想を上回った場合、利下げ打ち止め観測はより強まる可能性がある。株式市場ではNYダウなど主要株価指数が最高値を更新し、ドル買いを支援し110円台半ばまでの円安も想定できる。ただ、香港人権・民主主義法の成立を受け、中国政府の反応を慎重に見極める必要はある。中国政府は声明で「重大な内政干渉」と反発しており、今後報復措置を発動する構えをみせる。米中通商協議は12月中に進展するとの期待は残されているが、この問題に対して中国側の態度がすみやかに軟化することは期待できないことから、目先的にリスク選好的なドル買いは抑制される可能性もある 。


今週の主な経済指標:

  2日: 7-9月期法人企業統計(8:50) 
          11月自動車販売台数(14:00) 
          国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)(~13日マドリード) 
          米11月ISM製造業景況指数(3日 0:00) 
          米 10月建設支出(3日 0:00) 
          米サイバーマンデー 
          トランプ米大統領、NATO首脳会議に出席のため英国訪問(~4日) 
  3日: 11月マネタリーベース(8:50) 
          豪州準備銀行理事会 
          NATO首脳会議(~4日ロンドン) 
  4日: 豪 7-9月期 GDP(9:30) 
          米 11月ADP 雇用統計(22:15) 
          米11月ISM非製造業景況指数(5日 0:00) 
  5日: 米 10月貿易収支(22:30) 
          米 10月製造業受注(6日0:00) 
          OPEC総会・OPECプラス(OPECと非OPEC 主要産油国で構成)閣僚会合(~6日ウィーン) 
  6日: 10月毎月勤労統計調査(8:30) 
          10月家計調査(8:30) 
          米11月雇用統計(22:30) 
          米 12月ミシガン大学消費者マインド指数(7日 0:00) 
          米10月消費者信用残高(7日5:00) 


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