米中貿易協議第1段合意と英国総選挙で2つのイベント決着-第2次朝鮮戦争の確率上昇、金の暴騰要因

  • 更新日:19/12/16
今週の日経平均株価、ドル・円想定レンジ:

・日経平均株価      23550円 – 24500円
・ドル・円      108円50銭 – 110円50銭
・東京金価格            5100円 – 5250円

今週は、米中貿易戦争の一部和解と英国総選挙も終了し外部環境の不透明要因と最大の懸念材料が緩和した。短期的に材料出尽くしとの見方も出るであろうが、その後の世界経済への影響を勘案すると悪化する要因とはならないであろう。第2段階の交渉は、来年から開始される予定であろうが、中国の核心的な部分となるため相当な交渉期間が必要になると思われる。


今週のポイント:

第1段階通商合意―農産物輸入拡大と関税実施を猶予へ

トランプ米大統領は15日に予定していた対中追加関税の発動を見送り、発動猶予と引き換えに中国は米農産物の購入を拡大する。さらに「第2段階」の合意に向けた交渉を直ちに開始すると表明した。合意文書は来年1月の第1週にワシントンで米中の首席交渉官によって署名される見込み。


米国は1600億ドル相当の中国製品に対する関税発動を見送るとともに、1200億ドル相当の製品に対する関税を従来の15%から7.5%に引き下げる。同時に2500億ドル相当の製品については25%の関税を維持する。ライトハイザー米通商代表部代表は13日、記者団に対し、中国が今後2年で米国の製品・サービスの購入を2000億ドル増やすことで合意したと説明した。貿易戦争が始まる前の中国の2017年の米国からの購入実績額は1300億ドル。


ライトハイザー氏によると、中国は2017年の購入実績額である240億ドルを基準とし、向こう2年間で米国産の農産物を320億ドル追加購入する。また、中国の購入には特定の対象や目標があるものの、公表すると市場を歪める恐れがあるため、公表はしない。


ムニューシン財務長官は、「最も重要なのは、履行可能な『第1段階』合意の確実な履行。その後に、『第2段階』合意の交渉を始める」と強調した。市場の関心は、第1段階の合意文書への署名と中国の履行状況、第2段階合意の交渉へ移行する。


第2次朝鮮戦争発生確率-50%以上ではないが大きな可能性

政治学者でクリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、日本アカデメイア第1回「東京会議」で、米国との対立が深まる北朝鮮の核ミサイル問題をめぐり「第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている」と警告した。


アリソン氏は情勢を「非常に危険な展開」と指摘。年末を期限に米側に制裁解除など譲歩を迫る金正恩朝鮮労働党委員長が今後数週間以内に何らかの方針を発するとの見通しを示した。


北朝鮮が米本土の脅威となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験を続けた2017年11月までの状態に復帰した場合、トランプ米大統領がミサイル発射台破壊など軍事攻撃を命じる用意があると指摘。「第2次朝鮮戦争」に進む確率は「50%以上ではないが、かなり大きな可能性がある」と語った。


1950~53年の朝鮮戦争と違い北朝鮮が日本を攻撃する選択肢も指摘され、アリソン氏は「日本や中国にも(戦争回避で)今すぐ対応すべきことがある」と呼びかけた。仏経済学者・思想家のジャック・アタリ氏も「北朝鮮は来年の大問題になる。どこまでもしたいことをさせると核不拡散の終わりとなる」と危機感を示した。


米国が、北朝鮮を先制攻撃する予兆は、その前に韓国在住米国人(約20万人)の避難作戦(NEO)が発動される。韓国に滞在する日本人は、約6万人。緊迫した事態に迅速に対応する避難作戦は、航空機や船舶を使い、10日前後の短期間で終わる予定。駐韓米軍は毎年春と秋に朝鮮半島有事に備え韓国在住の米市民を安全な地域に輸送する「非戦闘員救出作戦(NEO)訓練」を行っている。在韓日本人は、入っていない模様。


制裁と圧力が功を奏しない場合、北朝鮮の核とミサイル開発を阻止するため軍事オプションも辞さないと、トランプ政権が公言しているだけに最近の国連安全保障理事会の開催など気になる動きが出始めている。


しかし、トランプ大統領は、北朝鮮問題は来年の選挙で優位な票獲得につながる問題とは捉えていない模様。米国を振り向かせるため北朝鮮は、来年早々にも衛星の発射実験と称したICBM発射を再開し始めた場合、軍事オプションが現実的に遡上するであろう。


今週の東京金価格-金も金融相場の影響で下値が限定

東京金は、金を取り巻く環境で金利面での支援要因(米金融緩和期待)が、しばらく足踏みの状況となっている中でも下値が硬直的で底堅い値動きとなっている。最大の買い手は、中央銀行、特に自国通貨に不安がある国(特に中国)の中央銀行が買いに動いている。また、5年後の世界情勢を考えてみると中東、朝鮮半島、香港、台湾など今後、現在より不安定になる可能性の高いエリアが、増え始めていることも金価格の心理的な下支え要因となっているのであろう。今週は、5100円台を中心に5200円をうかがう値動きを想定する。


今週の国内株式市場

今週の国内株式市場では、米中貿易摩擦とブレグジットという外部環境リスクに後退の方向性が見えたことで、先行き不透明感の解消が期待される。為替は109円台半ばまで円安が進行し、外部環境はリスクオンに傾斜する条件が整ってきた。重要イベントを理想的な形で通過したことで、年末高に向けての期待感が高まってくる。一段の米株高及び為替の円安進行などがあれば、昨年10月2日のバブル後高値である24448.07円を意識する展開となる可能性もある。


為替ドル・円

トランプ政権は今月15日に発動を予定していた対中追加関税の発動を見送ることを決め第1段の貿易協定を原則合意した。米中貿易摩擦の段階的な解消に向けた動きが好感され、リスク選好的なドル買い・円売りは継続する可能性がある。英総選挙で与党・保守党が過半数議席を獲得し、ブレグジットの混迷脱却を好感したポンド買い・円売りが観測されていることもドル高・円安の進行を促す要因となりそうだ。110円手前で何度も跳ね返されている相場だけに可能性としては、109円台での足踏みの可能性が高い展開。目先10月2日高値109.72円を超えれば110円、110.50円を目指す可能性も出てくる。逆に109円割れからは、108.40円台を試す可能性もある。


今週の主な経済指標:

16日: 中国 11月都市部固定資産投資(11:00) 
          中国 11月工業生産(11:00) 
          中国 11月小売売上高(11:00) 
          米 12月NY連銀製造業景気指数(22:30) 
          米 12月NAHB住宅市場指数(17日 0:00) 
          米 10月対米証券投資(17日 6:00) 
17日: 米 11月住宅着工件数(22:30) 
          米 11月建設許可件数(22:30) 
          米 11月鉱工業生産・設備稼働率(23:15) 
18日: 日銀金融政策決定会合(~19日) 
          11月貿易統計(8:50) 
          11月訪日外客数 
          12月Ifo景況感指数(18:00) 
19日: 黒田日銀総裁会見 
          米 7-9月期経常収支(22:30) 
          米 12月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(22:30) 
          米 11月CB景気先行総合指数(20日 0:00) 
          米 11月中古住宅販売件数(20日 0:00) 
20日: 11月消費者物価指数(8:30) 
          米 7-9月期GDP確報値(22:30) 
          米 11月個人所得・個人支出(21日 0:00) 


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